投稿日:2023年09月28日/更新日:2023年12月04日
ウェルビーイング経営を導入する企業メリットとは|取り組み方も紹介
昨今ウェルビーイングの考え方が活発化し、日本でも多くの企業でウェルビーイング経営が推し進められています。
しかし、ウェルビーイング経営を導入することのメリットや取り組み方法がわからないと思っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、ウェルビーイング経営のメリットや取り組み方をそれぞれ紹介します。
自社SDGs施策の1つの強みとして活用してください。
ウェルビーイング経営とは
ウェルビーイング(Well-being)とは、世界保健機関(WHO)が定義した「精神と肉体的な健康と社会的健康を意味した言葉」です。
世界保健機関憲章には「健康とは病気であるかに関係なく、肉体的・精神的・社会的に満たされている状態」だと説明されています。
そして、ウェルビーイング経営とは「自社の利益を追求するだけではなく経営に関わる従業員や関係者全員の幸せを追求する経営方法」のこと。
身体的・精神的・社会的に満たされることを目標に、環境を整える取り組みのことです。
ウェルビーイング経営と類似経営法の違い
ウェルビーイング経営には、ほかにも似たような経営方法があるため混乱しがちです。
ここでは、類似した経営法の違いを紹介します。
健康経営 | 従業員の心身の安定によって労働生産性の向上や離職率の低下を図り、業績・株価などの企業価値の向上を目指すこと |
ウェルビーイング経営 | 従業員の健康や高いエンゲージメント、いきいきとした組織づくりから、企業の存在意義の達成を目指すこと |
レジリエンス経営 | 企業や組織において社会や市場環境の変化によるリスクや困難を乗り越えて適応する能力のこと |
レジリエンス経営についてはこちらの記事をご覧ください。
ウェルビーイング経営に重要な5つの指標
ウェルビーイング経営には、その経営指針を支える5つの指標があります。
P(Positive emotion) | ポジティブな感情・心身の健康 |
E(Engagement) | 没頭や没入・エンゲージメント |
R(Relationship) | 良好な人間関係・社内の雰囲気 |
M(Meaning) | モチベーションや意義・生産性 |
A(Accomplishment) | 達成感や満足感・報酬の安定感 |
これらの考え方は、人間の素晴らしさや幸福感を追及するための研究・学問である「ポジティブ心理学」から生まれました。
一時的な幸福ではなく、幸福な状態を保つ(ウェルビーイング)ことが重要だとしています。
ウェルビーイング経営で得られるメリット
メリットは下記の3つ。
- 生産性や利益率の向上
- 離職防止と求職者の増加
- SDGs推進
企業向けのストレスチェックやメンタルヘルスケア対策、人事向けサービスを提供している株式会社アドバンテッジリスクマネジメントが発表したウェルビーイングと生産性の関係図では、ウェルビーイングが上がれば仕事のパフォーマンスも比例して向上することが分かりました。
また、従業員のパフォーマンスや生産性が向上することでやりがいが生まれれば、利益率の向上はもちろん結果として休職者や離職者の軽減ができるでしょう。
ウェルビーイング経営に取り組んでいるとアピールすれば、求職者への訴求にもつながります。
そして、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標8「働きがいも経済成長も」など世界的なニーズに応えることもメリットの1つ。
さらに近年は人的資本情報を開示することが、投資家やステークホルダーから大きな関心が寄せられています。
人的資本情報を開示することにより、企業運営の実態を明確化し投資家からの融資が受けやすく人材確保も容易になるのです。
ちなみに、関心が寄せられるようになった理由は2008年のリーマンショックの事件が発端。
財務情報のみでは中長期的な企業価値を評価しづらいという理由から、人的資本の情報開示が求められるようになりました。
ウェルビーイング経営への取り組み方
主な取り組み方は下記の4つがポイントです。
- 労働環境の改善
- コミュニケーションの活性化
- 調査やアンケートの実施
- ツールやシステムの導入
それぞれ下記で具体例とともに紹介します。
労働環境の改善
まずオーバーワークやハードワークを改善することはもちろんですが、従業員のヘルスケアも重要なウェルビーイング経営の取り組みです。
- 健康診断・予防接種
- ストレスチェック
- 産業医との個別面談の設定
ほかにもがんや生活習慣病の検診をサポートする施策も有効です。
コミュニケーションの活性化
人間関係や職場の雰囲気が悪いとストレスを感じて生産性が低下する原因になるため、コミュニケーションを取りやすい環境を整え風通しを良くすることが大切。
- 部活動やサークルを取り入れる
- 懇親会などにかかる費用を補助する
- 休憩スペースや談話室を設置する
お茶くみ係などの体制をやめて自販機を導入するだけでも不公平さの改善や、コミュニケーションの向上が可能でしょう。
調査やアンケートの実施
従業員が何を求めているのか、どのような不満を持っているのかを可視化することが重要です。
- 社内調査アンケート
- 1on1のヒアリング
これらを通じて従業員の声に耳を傾けてニーズを引き出し、ウェルビーイング経営の改革を進めましょう。
近年は従業員の満足度結果だけではなく、満足・不満足を持つようになる原因に着目した「従業員エクスペリエンス(EX)」の改善も求められています。
ツールやシステムの導入
最後に、さまざまな便利ツールの導入は欠かせません。
- 「ありがとう」や「いいね」を伝え合えるコミュニケーションツール
- 調査結果をシステム内に蓄積・分析・対策を行うためのツール
- 業務の効率化・最大化を図るためのツールなど
また、福利厚生を充実させることもウェルビーイング経営の施策の1つですが、福利厚生は全従業員が平等に使えることが前提条件です。
まとめ
ウェルビーイング(Well-being)は「精神と肉体的な健康と社会的健康を意味した言葉」で、ウェルビーイング経営とは「自社の利益を追求するだけではなく経営に関わる従業員や関係者全員の幸せを追求する経営方法」のことです。
ウェルビーイング経営を導入することはさまざまなメリットがあり、従業員を含めたステークホルダーからの注目度も高い経営方針の1つです。
導入コストや概念の定着まで中長期的な施策が必要ですが、まずは自社でできる小さなことから改革をはじめてみましょう。