投稿日:2024年05月27日/更新日:2024年05月27日
SDGs目標1:貧困をなくそうとは?│現状と私たちができること
SDGsの目標1は「貧困の撲滅」です。
とは言っても、貧困問題は教科書やニュースで扱われるもので、日本には馴染みがないと感じている方も多いのではないでしょうか?
実は貧困は発展途上国に限った話ではなく、先進国でも深刻化しつつある問題なのです。
今回の記事では貧困問題の現状と、個人でもできることについて紹介したいと思います。
SDGsの目標1「貧困をなくそう」とは?
SDGsは17個の目標から構成されており、目標1は「貧困をなくそう」というものになっています。
これはその名の通り、世界中に存在するあらゆる形の貧困をなくすことを目標としています。
貧困というと発展途上国にあるイメージが強いですが、先進国にも「相対的貧困」という形で存在しています。
こちらもSDGsでは撲滅する目標に含まれています。
「相対的貧困」とは、その国の水準に比べて著しく貧しい状態のことです。
具体的には手取り収入がその国の中央値の半分に満たない状態であり、日本では122万円以下(2012年厚生労働省調べ)となっています。
日本の相対的貧困率は15.4%と先進国の中では比較的高い数字となっており、決して他人事ではありません。
相対的貧困は可視化されにくいため、進行する前に対策をしなければなりません。
世界の貧困の現状
世界の貧困の現状について紹介します。
極度の貧困状態(一日あたり2.15$以下で生活する人)は世界に6億4800万人いると推定されています。
貧困は特定の地域に集中しており、世界銀行による2015年の調査ではインド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、バングラデシュに貧困層の半数が存在しているとされています。
これらの国における貧困の原因には紛争、不十分なインフラ整備があると考えられており、原因を根本から解決することが重要です。
また、貧困層のうち半数を子供が占めている点も問題です。
子供の貧困は成長障害のリスクを高めるだけでなく、労働を強いられることで教育を受ける機会も失ってしまいます。
参照:An Adjustment to Global Poverty Lines|THE WORLD BANK
SDGs1のターゲット
ターゲットとは、ゴールまでに必要な取り組みや細かいステップについて詳しく説明したものです。
SDGs1のターゲットを以下の表にまとめます。
1.1 | 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。 |
1.2 | 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。 |
1.3 | 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。 |
1.4 | 2030年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性および女性の経済的資源に対する同等の権利、ならびに基本的サービス、オーナーシップ、および土地その他の財産、相続財産、天然資源、適切な新規術、およびマイクロファイナンスを含む金融サービスへの管理を確保する。 |
1.5 | 2030年までに、貧困層や脆弱な立場にある人々のレジリエンスを構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的打撃や災害に対するリスク度合いや脆弱性を軽減する。 |
1.a | あらゆる次元での貧困撲滅のための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、様々な供給源からの多大な資源の動員を確保する。 |
1.b | 各国、地域、および国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを設置し、貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援する。 |
1.1のように、数字であらわされているものはゴールを達成するために必要な目標で、1.aのようにアルファベットで示されているものはゴールを達成するために必要な取り組み
それぞれについて、詳しく解説します。
ターゲット1.1
世界全体でみれば、年々貧困にあえぐ人の数は減っています。
しかし、サハラ以南のアフリカに限ってみれば重度の貧困にあえぐ人の数はむしろ増えているのが現状です。
1日1.25$(日本円で200円前後)という、極度の貧困に困っている人を2030年までになくすことが目標となっています。
ターゲット1.2
ターゲット1.2は先進国における相対的貧困のことを指しています。
相対的貧困はその定義上、完全にゼロにすることが難しいので割合を半減させることが目標になっています。
ターゲット1.3
ただお金や食料を与え続けるだけでは根本的な貧困を解決することができません。
貧困の裏には紛争や不十分なインフラ、社会保障制度が整っていないことが原因として存在しています。
これらを解決することで、貧困になりにくい社会基盤を作ることができます。
ターゲット1.4
貧困層の人々は基礎的なサービスや土地、財産の所有権も不当に侵害されている場合があります。
特に紛争地域では行政が混乱しているためその傾向が顕著に現れています。
貧困層にもお金や土地に関するサービスを平等に提供することで、貧困から脱出しやすくなります。
ターゲット1.5
レジリエンス(強靭性)とは回復力、復帰力とも訳される言葉です。
気候変動や災害などが起きると、農作物の収穫量が減少することで様々な産業に悪影響が出てしまいます。
災害が起きたとしても、貧困にならないような強いインフラ、人材を育成することが貧困を減らすことに繋がります。
ターゲット1.a
まずは食料や資源の現物を支給することで貧困から脱却するための足がかりとします。
そのほか、フェアトレードや開発協力のようにその国の産業を活発にすることもターゲットの中に盛り込まれています。
日本ではこども110番のみせという活動が行われています。
ターゲット1.b
貧困を撲滅するための方法の1つに発展途上国に対する投資があります。
各国が連携して貧困層やジェンダーに配慮した政策的枠組みを作ることで投資が活発になります。
わたしたちができること
貧困をなくすためには国単位での活動だけでなく、個人の活動も重要です。
私たちでも貧困をなくすためにできることについて解説します。
支援団体への援助
ユニセフ、国境なきこどもたちなど、貧困に苦しんでいるこどもを支援する団体へ寄付を行うことで、貧困問題の解決に貢献することができます。
日本は1人あたりのユニセフへの拠出額が他の国と比べて低いです。
日本全体で募金活動がもっと活発になれば発展途上国にとって大きな助けとなることでしょう。
フェアトレード製品など、貧困対策をしている企業、商品を優先的に購入することも援助のひとつです。
日々のお買い物の中で意識してみるといいでしょう。
ボランティア活動への参加
青年海外協力隊など、現地に行って直接支援をする方法があるほか、日本から物品を送るなど、手軽にできる支援も多くあります。
使い終わったランドセルの寄付などが有名ですね。
SNSなどで啓蒙活動をし、支援活動を広めることも貧困問題の解決に繋がります。
まとめ
今回は「SDGs目標1:貧困をなくそう」について解説しました。
貧困はアフリカなど発展途上国に限った話ではなく、日本を含めた先進国でも問題になりつつあります。
可視化しづらい分、深刻化しやすいので今のうちから問題意識をもって解決することが重要です。
私たちにできることとしては支援団体を通した援助、ボランティア活動への参加があげられます。
個人レベルの活動でも確実に貧困問題の解決に貢献することができるでしょう。