深掘りコラム

投稿日:2024年06月22日/更新日:2024年06月22日

脱炭素(カーボンニュートラル)とは?持続可能な未来への取り組み方

「脱炭素って何だろう?」

「カーボンニュートラルってどんな取り組みをしているの?」

上記のように疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

本記事では、脱酸素(カーボンニュートラル)について詳しく解説していきます。

脱炭素について詳しく知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

脱炭素(カーボンニュートラル)とは?

脱炭素とは、地球温暖化の原因となる代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の排出量をゼロにするための取り組みです。

また、二酸化炭素排出が実質ゼロになった社会を「脱炭素社会」と呼んでいます。

地球温暖化の加速を受けて、世界全体で脱炭素に向けた取り組みが推進されている現状です。

日本では、2020年10月に、当時の菅義偉内閣総理大臣が「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と、所信表明演説の中で述べました。

参照:2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と取組|資源エネルギー庁

これを受けて、環境省では「2050年までに年間で12億トンを超える温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること」を目標として、産業構造や経済社会の改新に取り組んでいます。

「カーボンニュートラル」は、二酸化炭素の排出量と吸収量を均衡させて、排出全体を実質ゼロにする取り組みを意味します。

脱酸素を目指している理由とは?

脱酸素を目指しているのは、主に以下の2つの理由があります。

  • 地球温暖化の影響による気候の変化
  • 化石燃料の枯渇

それぞれ解説します。

地球温暖化の影響による気候の変化

18世紀の産業革命以降、石炭や石油などの化石燃料を大量に燃やすようになった影響で、人々の二酸化炭素排出量は急激に増加。

二酸化炭素は地表の熱が宇宙に逃げることを妨げる「温室効果」という働きを持っており、大気中の二酸化炭素が増えることで地球温暖化が加速しています。

地球の温度が上昇すると、海面上昇や酸性化、洪水や干ばつなど、自然環境や私たちの生活にも大きな影響が考えられます。

地球温暖化の対策=自然や人、生き物の生命を守ることに繋がるでしょう。

化石燃料の枯渇

人類が経済活動に使用している主なエネルギー資源は、以下の4つがあります。

  • 石炭
  • 石油
  • 天然ガス
  • ウラン(原子力発電の燃料)

これらは私たちの生活に必要不可欠な化石資源です。

実は、近い将来に化石燃料が枯渇すると予測されています。

2019年時点で、石油と天然ガスは50年、ウランは115年、石炭は132年が寿命と予測されています。

それにより、化石燃料に代わるエネルギー資源の確保が急がれているのです。

参照:おしえて!地球温暖化|環境省

世界が推進する脱炭素の4つの行動

本章では、世界が推進する脱炭素の4つの行動を紹介します。

行動は以下のとおりです。

  • 再生可能エネルギーの活用
  • 水素エネルギーの発展
  • 乗り物の脱炭素化
  • 太陽光発電でエネルギーを自家発電

それぞれ解説します。

再生可能エネルギーの活用

1つめは、再生可能エネルギーを活用する方法です。

  • 水力・風力・地熱による発電
  • 森林の間伐材や家畜の排泄物などのバイオマス燃料を利用する
  • バイオマス発電やバイオマス熱利用など

以上が再生可能エネルギーにあたります。

再生可能エネルギーは、石炭や石油のように発電時に大量の二酸化炭素を排出しない特徴があります。

2021年度の温室効果ガスの排出・吸収量は11億2,200万トンで、前年度比2.0%(2,150万トン)の増加となり、2013年度比では20.3%(2億8,530万トン)減少しています。

一方で、2021年度の吸収量そのものは4,760万トンで、吸収量は増加となりました。

参照:2021年度(令和3年度)の温室効果ガス排出・吸収量(確報値)について|環境省

脱炭素社会を目指すにあたって、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を削減することは必須です。

また、世界中で再生可能エネルギーの導入が推進されています。

2021年度の日本の自給率は13.3%で、他のOECD諸国と比べても低い水準というのが分かります。

参照:日本のエネルギー 2023年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」|経済産業省資源エネルギー庁

二酸化炭素排出量の削減とエネルギー資源の確保という観点から、再生可能エネルギーの活用は日本においても重要な課題といえるでしょう。

水素エネルギーの発展

2つめは、水素を燃焼させエネルギーを活用する方法です。

発電時に二酸化炭素を排出しないため、脱炭素社会において化石燃料にかわる主力エネルギー源になるのではないかと期待されています。

水素は、水に代表されるように、化合物としてさまざまな物体の中に存在しています。

例えば、水に電圧をかけて電気分解することでも、水素を取り出すことができるのです。

水のほかにもさまざまな物質から簡単に取り出すことができ、その水素を貯蔵しておくことも可能です。

エネルギー源として使いやすい点も、注目を集める理由に含まれるでしょう。

水素エネルギーは、すでに実用化が進められている技術です。

例えば、ガスに含まれる水素と空気中の酸素を使って発電ができる家庭用燃料電池や、燃料電池を動力とするバスなどが普及しています。

乗り物の脱炭素化

脱炭素社会の実現にあたっては、電気自動車の一般普及や再生可能エネルギー燃料の導入も避けられない課題です。

自動車や飛行機といった乗り物でも大量の化石燃料が利用され、二酸化炭素排出の大きな要因となっています。

日本で電気自動車の普及は目立っておらず、石油がメジャーです。

しかし、政府は「2035年までに新車販売で電動車100% を実現させる」と、 掲げています。

参照:自動車・蓄電池産業|経済産業省

また、国が管理する全27空港では「空港脱炭素化推進計画」を作成。

空調設備の高効率化、照明・航空灯火のLED化、車両のEV化、太陽光発電設備等の再エネ導入等を最大限実施することにより、国が管理する空港のさらなる脱炭素化を推進しています。

参照:国が管理する全27空港の空港脱炭素化推進計画を作成|国土交通省

太陽光発電でエネルギーを自家発電

最後は、太陽光発電システムでエネルギーを作る方法です。

太陽光発電は、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーのひとつで、最近では戸建ての一般住宅でもよく目にするようになりました。

高層階ビルの屋上や戸建ての屋根スペース、空き地などの有効利用法としても注目されています。

しかし、大規模な野立て(山間部や池に設置する)は、環境問題(地すべりや動植物の生態系)が課題です。

また、大量に廃棄される使用済み太陽光パネルの廃棄問題も早急に取り組みべき問題といえるでしょう。

日経平均構成銘柄企業の脱炭素の取り組み状況

企業は、温室効果ガス削減目標(SBT : Science based target)を計画・支援しています。

2015年に取り組みが始まって以降、全世界でSBT認定を取得または2年以内に取得することを約束(コミット)した企業が増えてきました。

日本においても2024年3月に、認定取得・コミットした企業の数はおよそ1000社を超え。

2024年3月15日現在で、225社のうち約49%(110社)の企業がSBT認定取得または2年以内に認定取得することをコミットしています。

参照:日本企業脱炭素本気度ウォッチ|WWFジャパン

CDPは、英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。

2000年の発足以来、グローバルな環境課題に関するエンゲージメント(働きかけ)の改善に努め、日本では2005年より活動しています。

参照:CDPについて|CDPジャパン

社会全体でネットゼロを達成するには、こうした企業も含め、全ての企業が取り組みを進めなければいけません。

これらの企業は、消費者と直接接点のあるBtoC企業も多いので、消費者が声を上げることも非常に重要です。

脱炭素のために個人が今からできること

脱炭素社会に向けて、私たちができる活動を3つを紹介します。

  • 電力会社との契約で電気供給を確保する
  • プラスチック製品の使用量を減らす

それぞれ見ていきましょう。

電力会社との契約で電気供給を確保する

再生可能エネルギーを利用した電力を供給している電力会社と契約しなおすことも、脱炭素につながります。

2016年に電力の小売りが全面自由化されて以降、大手電力会社だけでなく、一般企業も電力販売に乗り出すようになりました。

その中には、再生可能エネルギーによる電力のみを供給する「再エネ電気100%」を掲げる企業は、国内では87社にのぼります。(2024年5月時点)

参照:RE100メンバー(日本)|RE100

プラスチック製品の使用量を減らす

海洋プラスチック問題をきっかけに、世界で脱プラスチックの動きが広まっていますが、脱炭素の観点からもプラスチック削減は非常に重要です。

プラスチックは石油を原料としているため、焼却すれば二酸化炭素を排出します。

日本のプラスチックごみの半数以上が焼却処分されているため、二酸化炭素排出量が増加する理由の1つになっているといえるでしょう。

レジ袋の有料化にともない、日本でもエコバッグを持つ人が増加しています。

ほかにも、マイボトルを持ち歩いたり、紙ストローを使用したりすることもプラスチックの削減になるのでおすすめです。

脱炭素を目指してエコな暮らしを

脱炭素(カーボンニュートラル)を実現するためには、日々の積み重ねが大切です。

エコバッグの持参やちょっとした気遣いなど、今までの暮らしに少し工夫をするだけでも変化を感じられますよ。

持続可能な未来のために、みんなで協力しながら脱炭素(カーボンニュートラル)を目指しましょう!