投稿日:2024年05月16日/更新日:2024年05月16日
SDGs目標2:飢餓をゼロに とは?│現状と私たちができること
17個あるSDGsの目標のうち、2つめの目標が「飢餓をゼロに」です。
飢餓というと発展途上国で起きていて、国や支援団体が主に対策をしているというイメージをもっている方も多いのではないでしょうか?
実は今後、人口増加などの影響によって飢餓は深刻化すると予想されています。
日本は食料自給率が低いということもあり、決して無視できない問題です。
今回は飢餓の現状と私たちにもできることについて紹介します。
SDGsの目標2「飢餓をゼロに」とは?
SDGsの目標2では、世界から飢餓をなくすことが掲げられています。
「飢餓」とは、長い期間にわたり栄養が足りなくなっている状態で、生きることや社会的な生活が難しい状況を指します。
飢餓はの種類は2つ。
- 戦争や自然災害で食料が足りなくなる飢饉
- 慢性的に食料が足りなくなる慢性的飢餓
飢饉は一時的な食料不足であることも多く、他国からの食料支援を行うことで回復する可能性があります。
しかし、慢性的飢餓の場合はそもそも作物が育たない、育てられるような状況にないことも多く、その原因を解決する必要があります。
飢餓は子供の成長や妊婦の健康に影響を及ぼすほか、戦争の原因にもなるため、持続可能な社会のためには無くさなければなりません。
世界の飢餓の現状
現在、世界では9人に1人が飢餓状態にあると言われています。
一度は減少傾向だったのですが、気候変動の影響で近年増加、今後も飢餓は進行すると予想されています。
農林水産省の見通しによると2050年までに人口の増加によって食料の需要は1.7倍になる見通しです。
参照:2050年における世界の食料需給見通し|農林水産省大臣官房政策課食料安全保障室
しかし、農地の面積はそこまで伸びないと予測されているため、世界全体で効率よく農業を行うことが重要となってきます。
日本における飢餓の現状ですが、内閣府の調査では「食料が買えなかった経験がある」と解答した人の割合は全世帯の11%に上っています。
相対的貧困とも呼ばれており、低所得世帯に対する食料支援の必要性が叫ばれています。
SDGs2のターゲット
ターゲットとは、ゴール(今回の場合は飢餓をゼロにすること)までに必要な取り組みや細かいステップについて詳しく説明したものです。
SDGs2のターゲットを以下の表にまとめます。
2.1 | 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。 |
2.2 | 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。 |
2.3 | 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。 |
2.4 | 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。 |
2.5 | 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。 |
2.a | 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。 |
2.b | ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。 |
2.c | 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。 |
2.1のように、数字であらわされているものはゴールを達成するために必要とされる条件で、2.aのようにアルファベットで示されているものはゴールを達成するまでに必要な取り組みです。
それぞれについて、詳しく解説します。
ターゲット2.1
2030年までに飢餓を撲滅することが目標として掲げられています。
ただ空腹を満たすのではなく、栄養があって健康的な食事を、発展途上国も含めた全ての人に提供できることが重要です。
ターゲット2.2
栄養不足の状態を解消することが目標となっています。
特に、妊婦や子供の低栄養状態は小児の成長障害へと繋がってしまいます。
持続可能な社会を作るためにこれらの属性は重点的にフォローしなければなりません。
ターゲット2.3
先進国では広大な農地で機械やハイテク技術を用いた大規模な農業が行われていますが、発展途上国では小規模に農業を行っている人も珍しくありません。
そして小規模な農家の方たちは正しい知識や設備へのアクセスが限られており、不当な扱いを受けていることも多々あります。
2030年までに制限をなくし、小規模な農家の生産量、所得を倍増することが目標にされています。
ターゲット2.4
気候の変動が起きたとしても影響が小さい、強靭な農業システムを構築することで安定した作物を収穫できます。
強靭なシステムというのはSDGsにおいて、レジリエントなシステムと表現されることが多いです。
ターゲット2.5
遺伝子バンクとは、世界の動物や植物、微生物の遺伝情報を収集、保存するシステムです。
遺伝情報を活用することで気候変動や害虫に強い植物を作れます。
しかし、使い方を間違えてしまうと遺伝子の多様性にも影響を及ぼしかねないため、適切に管理しなければなりません。
また、遺伝子バンクから得られた利益を適切に分配することも重要です。
遺伝子情報を利用するためには高度な技術が必要なので、先進国の協力が不可欠でしょう。
ターゲット2.a
特に開発途上国における農業を活発にするため、インフラや設備に関する投資を活性化させることが必要です。
一つの国だけで行うのは難しいため、世界全体で協力しなければなりません。
ターゲット2.b
世界の食料貿易に関する貿易制限や歪みを撤廃し、発展途上国でも先進国と対等な取引を行うことが重要です。
フェアトレードとも呼ばれます。
ターゲット2.c
食糧の備蓄が進めることが推奨されています。
安定して食料を供給することで価格が急激に変動しないようになるとされています。
わたしたちができること
国や企業だけでなく、私たちにもできることはいくつもあります。
国産の食材を買う
自分の国で作られた食材を優先的に購入することで、自国の農業を支援できます。
日本は食糧の半分以上を輸入に頼っているため、国産食材を積極的に消費することで食料自給率の上昇が期待できるでしょう。
また食材の輸送に関して発生する温室効果ガスを減らすことができ、地球温暖化の進行も抑えられます。
食品ロスを減らす
食品の廃棄を減らすことができれば、より多くの人に食事を届けることができますよね。
具体的な方法としては、必要な量の食材のみを調理する、調理の途中で発生する皮も利用することがあげられます。
そのほか、食品ロスを減らす活動(レッドカップキャンペーンなど)を行っている企業の製品を買うことで、間接的に食品ロスの減少、発展途上国における食糧問題の解決に寄与することも可能です。
まとめ
今回は【SDGs目標2:飢餓をゼロに】について解説しました。
日本にいるとなかなか実感は湧きませんが、世界には飢餓に苦しむ子供や妊婦さんが数多くいます。
世界的に見て人口が増え続けている今、当事者意識を持ち、個人でもできることを可能な限りすることが持続可能な社会のためには重要です。