深掘りコラム

投稿日:2024年09月10日/更新日:2024年09月10日

ジェンダーとは?簡単に分かりやすく意味やLGBTQについて解説

「ジェンダー」という言葉は、近年ますます注目を集めていますが、その意味や重要性について十分に理解している方は少ないかもしれません。

ジェンダーとは、単に男性や女性という性別を指すだけではなく、さまざまな意味合いがあります。

また、LGBTQなどの多様な性のあり方に対する理解も、ジェンダーについて考える上で欠かせない要素となっています。

本記事では、ジェンダーの基本的な意味やLGBTQに関する情報を、簡単に分かりやすく解説していきます。

これを機に、ジェンダーについての理解を深めてみてみましょう。

ジェンダーとは?

ジェンダー(Gender)とは、文化的・社会的に構築した性差の概念を意味しており、生まれつきの体の性と生物学的性別(Sex)のことです。

女性の身体を持つ人は女性として振る舞い、男性の身体を持つ人は男性としてのふるまいを社会から期待されています。

わかりやすく言うと「その性別として」どうやって生きていくべきかを、生まれ持った生物学的性別によって規定する概念を意味します。

いま、ジェンダー平等の実現・女性の可能性の拡大は、持続可能な開発目標(SDGs)として、全世界で最優先に取り組むべき課題のひとつです。

この問題の改善は、社会的弱者とされる女性にのみ恩恵をもたらすと思われがちですが、男性にとってもより良くより生きやすい社会システムにつながります。

ジェンダーの使い方

実は「ジェンダー」という言葉は、それ単体で使われることはあまりないです。

「ジェンダー+○○」といったように、複数の単語を組み合わせて用いられる場合が多く、主に下記の4つの使い方が挙げられます。

  • ジェンダーギャップ
  • ジェンダーレス
  • ジェンダーフリー
  • ジェンダーニュートラル

それぞれ解説します。

ジェンダーギャップ

ジェンダーギャップ指数とは、世界経済フォーラムが毎年発表している男女格差を数値化したものです。

指数は0〜1の数値で評価され、スコアが1であれば完全平等、0だと完全不平等を示しています。

そのため、男女格差の少ない国ほど1に近い数値となり、不平等な状況であれば0に近づきます。

指数を構成する分野は、以下の4つです。

  • 経済
  • 教育
  • 健康
  • 政治

格差状況を表す数値を「女性÷男性」で計算される値とし、全体の平均値がその国のスコアとなります。

各項目は、男女格差が生じやすい分野として考えられており、すべての項目で平等な社会を実現する目標を掲げていいます。

ジェンダーレス

ジェンダーレスとは、ジェンダーギャップのない、またはジェンダーギャップをなくそうとする考え方を指します。

男女の境界を無くす・区別しないという意味が込められています。

最近では、海外のモデルが男女両方のファッションを着用しており、ファッション業界でも男女両方が着用できるファッションが増えている。

表現の在り方として、男女の境界がないファッションという意味としても使われるようになりました

また、ジェンダーレスファッションをしているものの、あくまでセクシュアリティは男性(女性)として自認し、周りから男性(女性)として扱われている人もいます。

ジェンダーフリー

ジェンダーフリーとは、誰もが性による社会的・文化的差別を受けず、自らの能力を自由に発揮するべきという考え方を意味します。

そのためには従来の常識のなかに根付いていた差別観を撤廃し、社会全体で取り組みを目指しています。

ただし、ジェンダーフリーは決して「性別を撤廃し中性化する」という意味ではありません

たとえば性自認が男性と女性の人々のロッカールームを統一するのは、社会的に正しいとは言えないでしょう。

あくまで、ジェンダーが生み出した不適切な固定観念や差別の撤廃を根底に、性別にとらわれず個々の能力の発揮に重きを置いたものです。

ジェンダーニュートラル

ジェンダーニュートラルとは、男女の性差にとらわれない中立的な考え方を意味します。

英語の「gender(性別)」と「neutral(中立)」を組み合わせてできた言葉です。

男だから・女だからこうあるべきといった固定概念を取り除き、性別に縛られない行動や思考、社会を意味しています。

LGBTQとは?

身体的な性の特徴と自分自身の性の認識は、必ずしも一致しない場合があります

例えば、身体的には男性の特徴を有していたとしても、心は女性の場合もありますし、その逆もしかりです。

あるいは、男女どちらにも恋愛感情を抱かない人もいたり、自分自身の性を決められない人もいたりします。

上記のようにさまざまな性的マイノリティを、LGBTQといいます。

ジェンダーの種類

意味

レズビアン(Lesbian) 性自認が女性かつ恋愛対象が女性の人
ゲイ(Gay) 性自認が男性かつ恋愛対象が男性の人
バイセクシュアル(Bisexual) 男性と女性どちらも恋愛対象の人
トランスジェンダー(Transgender) 出生時の割り当てられた性別と性自認が異なる人
クエスチョニング(Questioning) 性的指向や性自認が定まっていない人
クィア(Queer) レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーには当てはまらない性的少数者

ジェンダーレスを目指すための5つの取り組み

ジェンダーレスを目指すためには、下記の5つの取り組みが挙げられます。

  • 性的多様性(LGBT)に関する教育
  • 同性カップルへのパートナー証書発行
  • LGBTを考慮した商品およびサービスの開発
  • ジェンダーレスを推進する法制化の動向
  • 多様で柔軟な労働環境による女性の活躍支援

それぞれ解説します。

性的多様性(LGBT)に関する教育

厚生労働省では、学校の先生に向けてセクシャルマイノリティの子どもたちに関する資料を公開しています。

子どもたちがセクシャルマイノリティの正しい知識を持つためや、セクシャルマイノリティの子どもたちに対して正しい対応をするためにも、まずは現場の先生が正しい知識を得る必要があるのです。

LGBTについて授業で取り扱う必要があると考えている先生は全体の半数以上なのに対して、授業に取り入れた経験のある先生はわずか13.7%に留まっています。

具体的にどのような形でLGBTに関する知識を子どもたちに伝えていくのか、その内容を検討していく必要があるのです。

出典:子どもの“人生を変える”先生の言葉があります|厚生労働省

同性カップルへのパートナー証書発行

2015年11月5日から東京都の渋谷区と世田谷区では、同性カップルを結婚に相当する関係と認める書類「同性パートナー証書」を発行する制度を始めました

パートナーシップ証明を申請できる人は、以下のとおりです。

  • 渋谷区に居住し、かつ、住民登録があること
  • 18歳以上であること
  • 配偶者がいないことおよび相手方当事者以外のパートナーがいないこと
  • 近親者でないこと

また、令和6年4月から戸籍上の性別が同一でなくとも制度を利用することが可能となりました。

引用:渋谷区パートナーシップ証明|渋谷区

ただし、同性パートナー証明書は婚姻届のような法律効果はありません

しかし、住居の賃貸契約や病院での面会時など、戸籍上の家族ではないことを理由に断られてしまった場合は、区が是正勧告をした上で事業者名の公表が認められています。

LGBTを考慮した商品およびサービスの開発

病院や賃貸住宅の契約以外にも、LGBTに配慮した商品やサービスの開発が進められています。

例えば、生命保険の場合、基本的に家族以外の人を受取人にすることができません。

しかし、加入している生命保険会社が認めていれば、同性のパートナーを生命保険の受取人にするのも可能です。

そのほかにも、同性パートナーの家族割サービスなどを認めている携帯電話会社もあります。

ジェンダーレスを推進する法制化の動向

ジェンダーレスに向けた法制化の動きはありますが、現実問題として法律の改正に至るまでには数多くの問題があるというのが現状です。

性同一性障がい者の性別の取扱いの特例に関する法律により、特定の条件を満たしている場合は戸籍上の性別変更が認められています

しかし、条件を満たしていない場合の変更は認められていません。

また、性別適合手術を受けた人がフィットネスクラブにおいて戸籍上の性別である男性の更衣室の利用を求められ、訴訟に発展したケースもあります。

同性婚に関しても、同性パートナーは法定相続人になれません

そのため、パートナーに遺産相続を希望する場合は、遺言として残しておく必要があります。

国としてジェンダーレスに向けた整備が必要だという認識がある一方で、法的整備の取り組みが遅れているとの指摘がされている現状もあります。

多様で柔軟な労働環境による女性の活躍支援

ジェンダーレス実現に向け、あらゆる分野において女性の活躍も推進されています。

女性が安心して社会で活躍するために、多用で柔軟な働き方を推進しつつ、意欲と能力を最大限に発揮しながら効率的に働ける環境の整備が必要です。

また、男性の子育て参加や育児休業取得の促進等を目的とした「イクメンプロジェクト」などが企業で設けられています。

しかし、実際に育児休暇を取得した男性の声を見ると、周囲の理解を得るのは厳しいという声も数多くありまだまだ実用は難しいでしょう。

女性の活躍を推進するためにも、多用で柔軟な働き方に加えてジェンダーレスの考え方が浸透し、会社や周囲の人々の理解が得られる環境づくりが必要です。

まとめ

ジェンダーとは、生物学的な性別を超えて、社会的・文化的に構築された性の在り方を指します。

また、LGBTQという言葉は、多様な性のあり方や個々のアイデンティティを尊重するための重要な概念です。

今回の取り組みは、SDGs目標5の「ジェンダー平等の実現」に当てはまります。

誰もが自分らしく生きられるためにも、固定概念にとらわれず、お互いの個性を尊重し合いましょう。