深掘りコラム

投稿日:2024年08月11日/更新日:2024年08月11日

SDGs目標3:すべての人に健康と福祉をとは?│現状と私たちができること

日本に住む私たちは、健康で文化的な最低限度の生活が憲法によって保障されています。

しかし、世界に目を向けると、恵まれない子どもや若者も少なくありません。

2015年に国連で採択されたSDGsの認知度は年々上がっています。

世界が目指す持続可能な社会について、本記事では健康と福祉の観点から考えます。

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」とは?

SDGs3は「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」目標です。

目標3のターゲット一覧

SDGsの目標には、それぞれ達成目標と実現方法を示したターゲットが設定されています。

目標3は、1〜9の達成目標とa~dの実現方法、計13のターゲットがあり、各ターゲットを読むとどのようなゴール・課題が目標3に含まれるのかイメージできます。

目標3.あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。
3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

参照:我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ p.16-17|外務省

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」における世界の現状

先進国や開発途上国に関係なく、世界中のすべての人にとって健康と福祉は重要です。

SDGs目標3が目指す「健康的な生活」とは、肉体・精神・社会的に満たされている状態。

つまり、病気になるかならないかではなく、治療のための医療を受けられ、過度なストレスを受けずに安心して暮らせる社会の実現を目指しています。

しかし、世界にはさまざまな理由から、医療を受けられない人が数多く存在するのです。

特に問題となっているのが三大感染症といわれる、HIV・マラリア・結核での死者です

これらの感染症によって、適切な治療を受けられず亡くなる子どもは毎年500万人ほど。

ちなみに、2021年の統計では5歳以下が500万人、5〜24歳までの若者は210万人亡くなっています。

これは、0〜24歳の人が4.4秒に1人亡くなっている計算です。

参照:2021年の5歳未満児死亡数、500万人 死亡数減少も、多くの国でSDGs達成困難か|Unicef

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」における日本の現状

WHOによると、日本のUCHサービスカバレッジインデックス(医療サービスが行き届いているかを評価した指標)は83

それぞれの指数は0〜100で表され、数字が大きいほど達成度が高くなります。

日本は世界でも優れた保健医療サービスを提供している国の1つです。

しかし、人口の減少に応じて経済力の低い過疎地では、医療体制の確保が課題となっています。

また、日本でも高齢化が進み、医療サービスへのニーズは高まる一方で、医療費の増加や医師不足等が懸念されています。

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」に対して私たちができること

目標達成のためには、大きな組織や企業だけではなく私たち個人の行動も大切です。

1人ひとりが意識を持って行動し、世界にも貢献しましょう。

寄付や募金をする

最も気軽にできる支援の1つが、SDGsの目標達成のために活動する団体や企業、自治体への寄付や募金です。

たとえば、Unicef(国際連合児童基金)や国際NGO組織など。

寄付や募金は、所得に関係なく誰でも無理のない範囲で参加が可能です。

ボランティア活動をする

現地での教育支援や環境整備のボランティアも大切な支援です。

しかし、海外での活動をすぐに始めることは難しいでしょう。

おすすめは日本国内で、寄付や募金活動のPRスタッフなどが比較的取り組みやすい活動です。

また、食事を取れない子どもたちへの支援を行う「子ども食堂」や、居場所のない子どもたちへの「放課後教室」などのボランティア活動などもよいでしょう。

感染予防をする

感染症の予防には、自分がかかるだけでなく他人への感染予防も大切です。

風邪やインフルエンザ予防だけでなく、デング熱などの動物由来感染症やHIV、梅毒など性感染症にも注意しなければなりません。

また、日本は性教育後進国だといわれており、正しい知識のない大人も多くいます。

性について正しく理解し、感染を防止するのも立派な支援の1つです。

まとめ

本記事では、健康と福祉についてSDGsの観点から解説しました。

世界では感染症が蔓延しているにも関わらず、十分な医療を受けられない国や地域が存在し、子どもや若者が命を落とすケースが少なくありません。

日本でも、人口の減少により経済力の低い過疎地では医療体制の確保が課題となっています。

まずは現状を知り、私たちができる支援を少しずつ積み重ねてSDGs3を達成しましょう。