投稿日:2024年08月19日/更新日:2024年08月19日
ダイベストメントとは|なぜ投資撤退する?企業戦略やESGとの関係性
ダイベストメントとは、SDGsにおける持続可能な行動と逆行する取り組みを行う企業から、資金を引き揚げる動きのことです。
近年、ESG投資(環境、社会、企業統治を考慮した投資活動)を重視する投資家が増えており、世界では「ダイベストメント」が盛んになっています。
本記事では、ダイベストメントの意味や戦略、ESGとの関係性について分かりやすく解説します。
ダイベストメントとは?
ダイベストメントとは直訳すると「投資撤退」の意味で、SDGsの観点からズレた企業から投資を撤退させる動きのことです。
例えば、化石燃料(石油や石炭など)を手がける企業やタバコ産業、武器製造、賭博などに関連する業種から投資を撤退する動きなどが当てはまります。
また、融資を絞ることで、企業の取り組みに対して影響を及ぼす狙いもあります。
ダイベストメントの海外ケース
海外では、投資家や債権者が化石燃料関連事業を除外銘柄と位置づけて、投融資を中止・撤退する方針を次々に発表しています。
2015年ノルウェー政府年金基金が保有する石炭関連株式のすべて売却する方針を決定。
また、⽶国カリフォルニア州公務員退職年金基金(カルパース)は、石炭掘削から50%以上の収益を得ている企業から投資撤退する方針を発表しています。
ダイベストメントの日本ケース
日本では、ダイベストメントに向けた動きが遅れています。
その理由は、エネルギー政策に対する戦略の欠如が関係しているためです。
他の先進国と同様に、日本においても太陽光・風力・地熱・バイオマスといった再生可能エネルギーは積極的に行っているものの、政策が「再エネも石炭も」と中途半端な状態が遅れを招いているのです。
ダイベストメントが積極的に行われている理由
ダイベストメントが積極的に行われている主な2つの理由は以下のとおりです。
- ESG金融市場の拡大
- 座礁資産化リスクの回避
それぞれ解説します。
ESG金融市場の拡大
ダイベストメントが積極的に行われている理由の1つが、ESG金融市場の拡大です。
ESGに配慮した企業でなければ、企業に関わる投資家(ステークホルダー)から融資が受けられません。
また、環境汚染の深刻化や利益至上主義の限界など、ESGへの配慮の重要性が一層高まっています。
座礁資産化リスクの回避
ESGに配慮していない企業投資は、将来的に投資を回収できない「座礁資産」となる可能性が高いです。
これを避けるために、化石燃料関連事業をはじめ、タバコ産業やファストファッションなどさまざまな銘柄で回避の動きが広がっています。
ダイベストメントに対して企業が行うべき3つのこと
ダイベストメントに対して、企業が求めていることは以下の3つです。
- ESG経営を軸に自社ビジョンを再定義する
- ESG経営に沿ったビジネスモデルを検討する
- ESG経営に沿った具体的な施策を練る
それぞれ解説します。
ESG経営を軸に自社ビジョンを再定義する
環境や社会に配慮したESG経営を軸に、経営方針を再定義する必要があります。
従業員の人事評価・査定にESG経営への貢献度を含める、取引先に対して調達基準に省エネなどのグリーン基準を含めて検討してみることもよいでしょう。
ただしESG経営を軸にしたビジョン変更は、即効性のある施策ではありません。
まずは自社の従業員へ理念を徹底的に浸透させ、継続的に広める施策が重要です。
社内への広め方は、定期的なセミナーや社内ツールを用いた告知、掲示など、一方社外へは、Webを活用したメディア広報(企業ブログ、SNSなど)が適しています。
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ESG経営に沿ったビジネスモデルを検討する
ESG経営を推進することで「実現可能な将来性あるモデル」を検討することです。
基本的な要素は以下の2つで、順番に進めていくのがポイント。
- 利害関係者
- 利害関係者に提供する価値
ダイベストメントを回避するために、まずは投資家や金融機関などステークホルダーへの配慮を優先させましょう。
その後、利害関係者に提供する価値が本当にあるのかを再考慮します。
ESG経営に沿った具体的な施策を練る
新たなビジネスモデルを確立するためには、単に施策を掲げるだけではなく、その効果を検証するための評価基準も重要です。
自社独自のESG評価基準と、投資家が掲げるESG評価基準を擦り合わせることで、ダイベストメントを回避できます。
例えば、プラスチック包装を止めるために、紙素材を使う、リサイクルしやすい素材を使うなど。
前者であれば「削減量」という形で定量的に評価できますし、後者であれば「どの素材にするのか」という形で定性的に評価できます。
まとめ
ダイベストメントは「投資撤退」を意味しており、ESGに反した企業から投資資金を引き揚げる行動です。
日本ではエネルギー対策が中途半端なため、海外と比較するとダイベストメントに向けた動きは遅れがちです。
しかし、今後はESGを意識した投資活動の活発化や、ダイベストメントの動きも大きく動くことが予想されています。
今後は、ESG経営に沿った対策や海外の動きを視野に入れながら、環境にやさしい社会を目指しましょう。
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