投稿日:2025年07月11日/更新日:2025年07月11日
ESG経営に欠かせない【グリーンボンド】とは|意味やメリットをわかりやすく紹介
SDGsや環境問題に取り組むには、多くの協力や資金力が必要です。
近年では「グリーンボンド」の発行量が増加し、業界を賑わせています。
「グリーンボンド」という言葉を耳にしたことがあるけれど、まだよく理解できていないという方も多いはずです。
そこで本記事では、グリーンボンドについて分かりやすく解説します。
特徴やメリットをさまざまな立場から紹介しますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

グリーンボンドとは?
国内外の環境プロジェクトの資金を調達するために発行される債券を、グリーンボンドと呼びます。
国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則」、環境省の「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン」などに基づいて発行されるため、安心して活用できます。
SDGsや環境問題に取り組んでいると、多くの方の協力や資金が必要です。グリーンボンドは、環境改善につながる事業の資金源として使用されるため、市場が現在急成長中です。
環境問題への関心の高まりとともに、今後も拡大が見込まれ注目を集めています。

グリーンボンドの特徴は?
グリーンボンドには、以下の5つの特徴があります。
- 資金の利用途が環境関連に限定されている
- 国・企業・自治体が発行している
- ESG投資の注目として注目されている
- 発行には認証やガイドラインが必要
- サステナブル金融市場の成長を目指している
それぞれ詳しく解説するため、参考にしてください。
資金の利用途が環境関連に限定されている
参照:グリーンボンドに期待される事項|具体的な資金使途の例|環境省
グリーンボンドの使用用途は以下のとおりです。
- 再生可能エネルギー
- クリーン交通
- エネルギー効率化
- 廃棄物管理 など
基本的に、環境改善につながるプロジェクトにのみ使用が限定されています。
調達資金が確実に追跡管理できるため、安心・安全に利用できる点が高く評価されています。
国・企業・自治体が発行している
参照:グリーンファイナンスポータル|環境省
グリーンボンドの発行元は、政府、地方自治体、企業、国際機関(例:世界銀行など)です。
国内外の適格なグリーンプロジェクトに要する資金として調達するため、発行元がはっきりしていると投資側も安心して参入ができます。
発行側も環境対策資金が準備でき、効率よくプロジェクトに取り組める仕組みです。
ESG投資の注目として注目されている
ESG投資は、ESG経営を導入している企業へ投資を行うことです。
ESG投資のメリットには、リスク管理の低減・長期的なリターンが得やすい特徴があります。
単に利益を追求するだけでなく、社会全体の持続可能な発展を支援できる重要な手段ともいえるでしょう。
環境・社会・ガバナンス(ESG)を考慮した投資は、ESG投資の他に「サステナブル金融」「環境債券」「 再生可能エネルギー投資」とも言われています。
ESGについて気になる方は、以下の記事も一緒にチェックしてください。
発行には認証やガイドラインが必要
グリーンボンドは、以下の認証やガイドラインに基づいて発行されます。
- 国際資本市場協会(ICMA)「グリーンボンド原則(GBP)」
- 環境省「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン
- 「気候債イニシアティブ(CBI)」など
さらに、資金の使い道や報告が必要です。
発行後のレポーティングを通じ、透明性が確保された債券であるため、投資家からの信頼向上や市場の健全性が保たれます。
サステナブル金融市場の成長を目指している
参照:世界のグリーンボンド発行額の推移|環境省
グリーンボンドは、サステナブル金融市場の成長を大きく促進できるといっても過言ではありません。
- 環境プロジェクトの資金調達手段として有効
- 投資家の関心の高まり
- 発行体のメリット
- 市場の透明性向上
- 政策支援など
環境問題への意識の在り方とともに、世界的に市場が拡大中です。
特に、脱炭素社会の実現に向けた資金調達手段として、多くの企業が積極的に推進しています。
今後、グリーンボンドの重要性はさらに高まるでしょう。

グリーンボンドのメリットは?
グリーンボンドには多くのメリットが存在します。
企業側・投資側、社会的側面、それぞれの立場から得られるメリットを解説します。
企業側のメリット
企業側のメリットは以下の4つがあげられます。
- 環境対策資金を効率的に調達できる
- ESG評価の向上と企業価値の向上
- 投資家層の拡大と資金調達の多様化
- 社会的責任(CSR)の強化
企業にとってグリーンボンドは戦略的メリットが大きいといえるでしょう。
サステナブル経営を推進する企業にとって、グリーンボンドの活用は必須の戦略です。
環境対策資金を効率的に調達できる
まず、サステナブルな事業に必要な資金の調達が実現できる点は大きなメリットです。
再生可能エネルギーやエネルギーの効率化など、さまざまな環境対策プロジェクトに必要な資金が比較的好条件で調達が期待できます。
ESG評価の向上と企業価値の向上
参照:国内発行体による発行リスト|環境省
グリーンボンドの発行は、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の重点として評価されてているため、ブランド価値や企業イメージの向上につながります。
債券市場による牽制が働くことから、透明性の高いグリーンボンドへの信頼度は世間からも高いです。
プロジェクト推進に関して積極的であることをアピールできるほか、社会的な支持の獲得につながる可能性があります。
投資家層の拡大と資金調達の多様化
企業等が資金調達基盤を強化するためには、資金調達手段の多様化が有効です。
グリーンボンドは、ESG投資に関心のある機関投資家やファンドから注目されています。
地球温暖化をはじめとした環境問題の解決に関する投資対象を高く評価する投資家等、新しい投資家層の獲得につながり、資金調達の基盤強化につながる可能性があります。
資金調達の選択肢が広がると、安定した資金確保が期待できるでしょう。
社会的責任(CSR)の強化
グリーンボンドの発行は、企業の環境・社会的責任(CSR)を得る手段の1つです。
まず、早期に持続可能な取り組みを進められます。環境規制が厳しくなるなか、規制対応リスクの軽減にもつながります。
グリーンプロジェクト推進に積極的であることをアピールでき、それを通じて社会的な支持やCSRを得られるでしょう。
投資側のメリット
つぎに、投資側のメリットは以下のとおりです。
- 環境貢献しながらリターンを得られる
- 比較的安定したリスクとリターン
- ESG投資の拡大により資産価値の向上
それぞれ詳しく解説するため、参考にしてください。
環境貢献しながらリターンを得られる
グリーンボンドの資金は、再生可能エネルギーや省エネ事業、クリーン交通などの環境改善プロジェクトに使われます。
使用用途が環境事業へと限定されているため、環境貢献につながります。
持続可能な社会の実現に貢献しながら、リターンが得られるのはメリットといえるでしょう。
比較的安定したリスクとリターン
グリーンボンドは安定した収益を期待できるうえに、信用リスクが低い傾向です。
政府、地方自治体、大手企業、国際機関(例:世界銀行など)が発行元のため、安定した収益を期待でき安心です。
また、信用リスクは投資を行ううえで非常に重要な要素です。返済能力や信用度を評価するため、リスクが低いほど安心安全な取引が期待できます。
さらに、グリーンボンドを発行しようとする企業・自治体等に発行支援や、支援に要する費用を補助する取り組みも行われています。
参照:グリーンボンドに関する環境省の取組について|金融庁
そのため、投資側としても比較的安定したリスク管理ができ、リターンも期待できるでしょう。
ESG投資の拡大により資産価値の向上
現在、世界的にESG投資の市場が拡大しており、グリーンボンドへの需要も高まっています。
今後、環境規制が強化されグリーンボンド市場もさらに拡大し、投資対象としての魅力がさらに前進すると予想されます。
また、環境貢献と安定収益を両立できる投資手段としても有効的です。
グリーンボンドへの投資は、ESG投資として環境に貢献しながら、安定したリターンを得られるため、注目が集まっています。
今後も市場の成長が期待されるため、持続可能な投資戦略の今後を検討する価値があるといえるでしょう。
社会へのメリット
グリーンボンドから得られる社会へのメリットは以下の2つです。
- 脱炭素社会の推進
- SDGs(持続可能な開発目標)への貢献
社会や環境への影響も理解したうえで取り組むことで、より意味を感じられます。
脱炭素社会の推進
グリーンボンドを活用することで、CO2削減やクリーンエネルギーの普及が可能です。
脱炭素社会の推進につながり、環境への影響が期待できます。
企業や自治体が環境対策を強化しやすくなり、持続可能な社会の実現につながるといっても過言ではないでしょう。
SDGs(持続可能な開発目標)への貢献
グリーンボンドは、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の気候変動対策と密接な関係があります。
企業や政府の環境戦略を加速させるほか、長期的に持続可能な経済成長の実現に大きな影響を与えるでしょう。
まとめ
グリーンボンドは、発行者・投資家・社会の三者にとってメリットが大きい金融商品です。
企業にとっては、資金調達やブランド価値向上のチャンスでもあり、投資家にとっては、安定したリターンとESG投資が魅力です。
社会全体のためには、持続可能な未来を築くための重要なツールといえるでしょう。
今後、さらに注目が期待される分野でもあるため、興味がある方はぜひ理解を深めてみてください。
本記事があなたのお役に立てれば幸いです。
