投稿日:2024年06月26日/更新日:2024年06月26日
増粘安定剤とは|食品添加物の安全性やSDGsとの関連性
「増粘安定剤って何だろう?」
「食品添加物はあまり良くないイメージがあるけれど、実際はどうなの?」
上記のように疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
今回は、増粘安定剤の意味や添加物の安全性の具体例について解説します。
SDGsとも深く関連しているので、ぜひ最後まで読んでほしいです。
増粘安定剤とは?
増粘安定剤とは、水に溶解または分散して、食品に粘性や接着性をもたせる食品添加物です。
使用目的により、以下の3つの呼び方で区別をしています。
- 「増粘剤」は、食品に粘りやとろみをつける
- 「安定剤」は、形が崩れないようにする
- 「ゲル化剤」液体をゼリー状に固めるために用いる
これらを2種類以上使用した場合、全ての多糖類物質名を書かずに省略し、記載可能なのが「増粘多糖類」です。
いずれも、食品の食感や歯ごたえ、とろみなどを出すために、お惣菜からお菓子と幅広く利用されています。
増粘安定剤の種類
増粘安定剤の種類は、以下の6種類があります。
- 種子由来多糖類:食物の種子
- 樹脂由来多糖類:食物の分泌液
- 海藻由来多糖類:海藻類
- 微生物由来多糖類:グラム陰性細菌の培養液より分離して得られたもの
- 植物由来多糖類:植物(果実・野菜)
- 甲殻由来多糖類:エビ・カニなどの甲殻類
特に甲殻由来多糖類に関しては、アレルギー物質でもあるため注意が必要です。
食品に多く使われている増粘安定剤
食品に多く使われている増粘安定剤は、主に以下の3つです。
- ペクチン
- キサンタンガム
- カラギーナン
それぞれ解説します。
ペクチン
リンゴの皮や柑橘類、オクラ、キャベツなどの野菜類、海藻類から抽出される物質です。
主に果物の皮から抽出していますが、皮に残留している農薬が懸念されています。
よく含まれている食品は以下のとおりです。
- ジャム
- 飲料
- ゼリー
- アイスクリームなど
口当たりをよくしたり、滑らかにしたりする際に用いられます。
キサンタンガム
キサンタンガムは、土壌に生息するグラム陰性桿菌であるキサントモナスから作られています。
毒性は少ないとされているため、摂取量を守れば安全性は高いでしょう。
ただし、トウモロコシのでんぷんを使って微生物を工業的に培養している場合があり、そのトウモロコシが遺伝子組み換えの可能性があるため問題視されています。
主に以下の食品に使用されています。
- ドレッシング
- ケチャップ
- 練りわさび・からし
- レトルト食品
無農薬使用商品なども検討してみましょう。
カラギナーン
カラギナーンは、海藻からとれるぬるぬるした成分を水で抽出したものです。
粘りをつける増粘剤、液体分離を防ぐ安定剤、液体を固めるゲル化剤の3役を担っています。
動物実験や試験管内研究では、カラギーナンが胃腸の働きを劣化させ、炎症や腸管病変、潰瘍症、癌細胞の誘発を引き起こす可能性があるという結果が40年以上前に報告されています。
- ゼリー
- ジャム
- プリン
- アイスクリーム
- 調整豆乳
- ソース
商品の添加物をきちんと確認して、購入を検討しましょう。
増粘安定剤は安全か?
本章では、増粘安定剤の安全性や問題点を紹介します。
トラガントガム | マウスの実験で前胃に乳頭腫、がんの発生が確認され消化器系にガンが発生した事例があります。 |
ファーセレラン | 鶏卵一個あたり5mgを投与したところ、眼や上顎に異常が発覚しました。 |
カラギーナン | 結腸腺腫の発生頻度が高くなることが観察され、消化器系にガンが発生。 |
特にキサンタンガムは、原料がとうもろこし由来で、そのほとんどがGMO(遺伝子組み替え作物)だといわれています。
増粘安定剤は、天然由来のものが多いが、天然だからといって必ずしも安全とは言い切れません。
食品添加物には、必ず1日の摂取許容量が決められているので、その範囲を超えないようにしましょう。
食品添加物とSDGsのつながり
食品添加物はできるだけ避けたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
日本で使用が認められている食品添加物の中には、健康被害を理由に海外では使用を禁止されているものもあり、そのほとんどが化学合成添加物です。
摂取しすぎたり他の添加物と反応することで、発がん性物質を生み出したり、染色体異常を起こす原因になったりと、健康的な生活を妨げてしまう可能性があります。
一方でSDGsの観点から言うと、悪いものとは言い切れません。
例えば、保存料や酸化防止剤などはおいしく長持ちさせるために必要なもので、食品ロスの対策になっています。
ほかにも介護食や離乳食に使われる増粘剤や、栄養の補助に使われるビタミンやミネラルなどの強化剤は健康維持にも繋がっています。
特に食品ロスは世界でも大きな問題です。
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、人類は毎年21億~23億トンの廃棄物を生み出しています。
参照:2024年国際廃棄物ゼロデー|UNEP
日本では、令和3年度の食品ロス量は523万トン(前年度比+1万トン)、このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トン(前年度比+4万トン)、家庭から発生する家庭系食品ロス量は244万トン(前年度比▲3万トン)となりました。
参照:食品ロス量(令和3年度推計値)|農林水産省
一方で世界の飢餓人口は増加しており、最大7億8,300万人が十分な食料を得ることができておらず、54か国で4,700万人が「人道的危機」レベルまたはそれより深刻な飢餓に陥っています。
実際、イエメン、南スーダン、エチオピア、ナイジェリアの一部では、飢きんに近い状態か、すでに陥っている可能性が高いです。
参照:飢餓をゼロに|WFP
食料自給率が低く、多くの食べ物を輸入に頼る日本において、食品ロスは世界的に見ても深刻な問題で一刻も早い解決が求められています。
SDGsに基づいた商品選びはラベルがポイント
パッケージが商品選びになっていたという方は、SDGsの観点からラベルに注目したショッピングを実践してみてはいかがでしょうか。
以下のラベルは、SDGsに基づいた商品です。
- 国際フェアトレード認証ラベル(フェアトレード食品)
- 国際フェアトレード認証ラベル (The FAIRTRADE Marks)
- 世界フェアトレード連盟(WFTO)認証ラベル
- 有機JASマーク(オーガニック食品)
さまざまな商品に記載されているため、チェックしてみましょう。
増粘安定剤や食品添加物について理解し、食卓に彩りを添えよう
今回は、増粘安定剤や食品添加物の安全性などについて解説しました。
食品添加物の使用は、わたしたちの食に欠かせない要素や利便性があります。
しかし、容量を守らず過剰摂取は控えましょう。
食品ラベルをチェックし、アレルギーやご自身の健康状態に配慮しながら食品を選び、バランスの取れた食事を心がけてみてくださいね。