わたしたちができること

投稿日:2024年10月28日/更新日:2024年10月28日

線状降水帯とは?意味や予測が難しい理由を解説|線状降水帯から身を守る5つの方法

近頃「線状降水帯」という言葉を耳にする機会が増えました。

しかし、線状降水帯についてよく聞くものの詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、線状降水帯の意味をはじめ、積乱雲やゲリラ豪雨との違い、予測が難しい理由、身を守る方法5つについて解説します。

ぜひ参考にしてみてください。

線状降水帯とは?

線状降水帯とは、同じ場所に雨雲が通過または停滞し、線状に長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域のことです。

参照:線状降水帯に関する情報|気象庁

線状降水帯は名前のとおり、線のような細長い形状が特徴です。

雨雲(積乱雲)が次々と発生し、積乱雲が”積乱雲群”となって同じ場所を通過・停滞します。

同じ地域に大雨が降り続くと、洪水や浸水、土砂崩れなどの災害が発生する可能性があるため注意が必要です。

積乱雲とは?

積乱雲は「入道雲」「雷雲」とも呼ばれる縦に長い雲のことです

特に夏場、地表の暖かい空気が上空で冷やされ、水蒸気が水滴や氷の粒になり、さらにそれらが集まることで形作られます。

積乱雲の中では静電気が発生しやすく、雷や霰(あられ)、雹(ひょう)が降る可能性が高い雨雲です。

線状降水帯は、こうした積乱雲が連なってできてるため、長い時間に強い雨や雷が続くケースがあります。

線状降水帯とゲリラ豪雨の違いとは?

ゲリラ豪雨(局地的大雨)は、1つの積乱雲が発達して局地的に激しい雨を降らせる現象で、短時間で終わるのが特徴です。

一方の線状降水帯は、複数の積乱雲が連なって発生する線状の雨域で、広い範囲で長時間にわたって強い雨が降ります。

線状降水帯 ゲリラ豪雨
積乱雲 複数 1つ
範囲 広い 狭い
時間 長い 短い

積乱雲の数と範囲や時間の違いで、線状降水帯とゲリラ豪雨に分けられます

線状降水帯が発生しやすい場所とは?

線状降水帯が発生しやすいのは、九州から西日本エリア

理由は、線状降水帯の元となる積乱雲が発生しやすく、その後「バックビルディング現象」が起きやすいためです。

バックビルディングとは、積乱雲が進行していく後ろ側からも、繰り返し新しい積乱雲が発生する現象のこと。

暖かい気候や地形が影響するため、昨今の温暖化問題も少なからず影響を与えているでしょう。

線状降水帯の予測が難しい理由

予測には「水蒸気」がポイント

線状降水帯の発生原因である積乱雲は、水蒸気が大きな要因だからです。

そのため、海上の水蒸気量を把握することが発生の予測に役立ちます。

しかし、海上は陸上に比べて観測データが十分ではないため、線状降水帯の予想が難しいのです

そのため、発生の正確な予想が困難といえるでしょう。

さらに、気象庁が現在警報・注意報・天気予報の発表などの予報作業で利用している数値予報モデルは、積乱雲の発生や発達を十分に把握するには解像度が足りません。

このため、線状降水帯の発生を把握できず、大雨が降る場所や時間を正確に予報するのは極めて困難です。

参照:予報が難しい現象について (線状降水帯による大雨)「線状降水帯の予測の予想はなぜ難しいのか」|気象庁

線状降水帯から身を守る5つの方法

線状降水帯が起こった際にわたしたちができるのは、以下の5つをチェックしましょう。

  • 警報や土砂災害の危険度をチェックする
  • 建物や屋根がついた車内に避難する
  • 川や低めの位置から離れる
  • 住まいや職場近くのハザードマップをチェックする
  • 非常時の連絡手段を考える

それぞれ解説します。

警報や土砂災害の危険度をチェックする

線状降水帯が発生している際に、住んでいる地域にどのような警報が出されているか、土砂災害の危険度がどれくらいの高さなのかをチェックしましょう。

気象庁のWebサイトでは、注意報や警報が発出されている地域を一覧でチェックできます。

同じく気象庁のキキクルというWebサイトでは、土砂災害などの危険性を地図上に色分けして閲覧可能です。

ほかにも、以下のアプリがおすすめ!

特務機関NERV防災
ウェザーニュース

建物や屋根がついた車内に避難する

屋外にいて雷の音が聞こえた際は、すぐに建物の中や屋根付きの車の中に避難しましょう。

近くに木がある場合、雷が木に落ちてケガをする可能性があるため、非常に危険です。

木や電柱からは4メートル以上離れるよう心がけ、屋外にいて強い雨が降った際は、川や低い場所からすぐに離れましょう。

安全な高台に避難する

道路が浸水している場合は、車であっても通行するのは危険です。

浸水している道路では、マンホールの蓋が外れている恐れもあり、車が水に浸かると水圧でドアが開かない可能性があります。

できる限り安全な高台に避難し、雨が落ち着くまで待機しましょう。

住まいや職場近くのハザードマップをチェックする

日頃から、住まいや職場の近くのハザードマップを確認しましょう。

  • 洪水
  • 土砂災害
  • 高潮
  • 津波

それぞれの地域の自治体が公表しているため、あらかじめ確認しておくといいですよ。

ハザードマップを確認する際は、必ず家族全員でおこない、避難場所や避難ルートを決めて共有しましょう。

非常時の連絡手段を考える

非常時の連絡手段もあらかじめ決めておくと安心です

その際に以下の4つの連絡手段が挙げられます。

  • 災害用伝言ダイヤル(171)
  • 災害用伝言版(Web171
  • LINE安否確認
  • SNS

ほかにも、携帯電話や固定電話、公衆電話なども連絡手段として利用可能です。

携帯電話や固定電話は連絡をした際に気づいてもらいやすく、相手からの返答をそのまま受け取れるなど安否確認をしやすいというメリットがあります。

また、公衆電話は災害発生時のためにどこにあるかを事前に確認しておくと、安心できるでしょう。

まとめ

線状降水帯は、複数の積乱雲が連なり、長い間激しい雨を降らせる雨域のことです。

水蒸気や地形、気温など、複数の要素が関係しているため、予測が難しいといわれています。

線状降水帯から身を守るには、警報や気象庁の情報をチェックし、屋根がついた建物や高台などに避難しましょう。

また、家族でハザードマップをチェックし、いざという時のために非常時の連絡方法を考えておくと便利です。

自然災害はいつどこで起こるか分かりません。

本記事で解説した内容を参考にしながら、安全に過ごせるように危機感を持ちながら過ごしましょう。