投稿日:2025年06月15日/更新日:2025年06月15日
学力低下・健康被害?スマホが子どもに与える影響とは|適切な使用方法を徹底解説
近年、学習へのICT導入が進み、スマホも身近な存在になってきました。
未就学の子どものスマホ利用も増加しており、今や子どもとスマホの関係は避けられない時代といえます。
しかし利便性がある一方、リスクもあるため、子どもにスマホを持たせるべきか悩む保護者が増加中です。
「スマホ子守り」「スマホ育児」の中で、健康・学力への影響や弊害、スマホが子どもに与える影響を指摘する声も高まっています。
本記事では、スマホのリスクと可能性を両面から解説します。

子どものスマホの利用状況は?
子どもと一言でいっても、年齢や環境によって使用用途や頻度が異なります。
以下では、各用途や年齢に分けて詳しく紹介します。
- 子どものインターネット利用状況
- 未就学児のスマホ利用率
- 小学生・中学生・高校生のスマホ利用率
学校や塾など、教育現場でもIT教育が使用されることが多くなり、子どもたちにとってもインターネットやスマホが身近な存在になっています。
現代の子どもたちのスマホ利用状況を確認してみましょう。
子どものインターネット利用状況
令和5年度にこども家庭庁が行った調査では、低年齢層の子供の74.9%がインターネットを利用したことがあるというデータが出ています。
参照:令和5年度青少年のインターネット利用状況調査結果|こども家庭庁
未就学児(0歳〜6歳)で68% 、小学生(6歳〜9歳)では 90%と、低年齢でも多くの子どもがインターネットに触れて成長していると分かります。
インターネットを利用する機器はテレビやパソコン、タブレット・ゲーム機等が上位です。
年齢が上がるとともにインターネットの利用率も高くなる傾向にあり、2歳で約6割、12歳以上は約99%がインターネットを利用したことがあるとでています。
参照:令和5年度青少年のインターネット利用状況調査結果|こども家庭庁
また、インターネットの平均利用時間をみても、2歳で1日の平均利用時間が106分と子育てとインターネットが切り離せない環境ということがわかります。
さらに、利用時間の平均は年齢が上がるごとに大幅に増加している傾向があり、中高生になると300分と軽く5時間程度の利用状況が平均的です。
未就学児のスマホ利用率
スマホは未就学児の日常にも深く入り込んでいる傾向があります。
子どもたちのインターネット利用について考える研究会が、未就学児の保護者を対象に「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」を実施したところ、1歳児の4割、3歳児の6割がスマホなどの利用を経験していることがわかりました。
頻度も約5割が「毎日必ず」または「ほぼ毎日」と答えており、核家族が増え日中はワンオペ育児が主流となるため、インターネットに頼らざるを得ない家庭も多いと予想できます。
小学生・中学生・高校生のスマホの利用状況
NTTドコモの調査結果によると、年々スマホの所有率は増加傾向です。
小学6年生では、半数以上が自分専用のスマホを所有、中学生全体のスマホ所有率は87%、続いて高校生は92%に達しています。
小学生・中学生のスマホ利用率の詳細は以下のとおりです。
参照:【子ども】スマホ利用率|NTTドコモモバイル社会研究所
スマホの所有率は、子どもが自分専用のスマホを持っている割合を示すため、利用率は親のスマホを借りるなどして使用している場合も含まれます。
それでも、中学生スマホの利用率は94%と、ほとんどの中学生がスマホを利用している状況です。
特に小学生では所有率よりも利用率の方が高く、小学校高学年から利用率がさらに増加します。
なかには習い事の終わる時間が遅かったり、共働きのため連絡ツールとして持たせる家庭も多いようです。
スマホが子どもに与える悪い影響は?
子どもとスマホ・インターネットが切り離せない環境になりつつありますが、気になるのはどんな悪い影響があるかです。
想定される悪い影響は以下のとおりです。
- 脳・視力・睡眠への影響
- 発達・学力への影響
- 依存症やSNSヘの過剰な接触やリスク
- SNSやネットトラブルの危険性
デメリットによっては、使用方法やルールを検討する必要があります。
内容を理解したうえで精査しましょう。
脳・視力・睡眠への影響
まず、懸念されるスマホ使用による身体面への悪影響は以下のとおりです。
- スマホのブルーライトによる睡眠の質の低下
- スマホの画面を見続けることで「近視」や「調節障害」を引き起こすリスク
- 情報過多なスマホ環境により、集中力の散漫、思考力・創造性に悪影響を及ぼす可能性
小児期は発達が著しい時期です。
実際にインターネットの使用習慣によって、物事の認知機能に重要な役割を果たす大脳皮質と大脳白質の体積に変化が出たというデータもあります。
子どもの健やかな成長を考えると、使用時間とタイミングの管理が不可欠です。
特に夜間の使用は控えるのが望ましいでしょう。
発達・学力への影響
発達・学力への影響は多くの専門家が指摘しています。
特に未就学児や低学年の子どもにとって、言語や社会性の発達には「対面での会話」や「体を使った遊び」が重要です。
スマホに時間を奪われることで親子の会話や友達とのふれあいの機会が減ると、社会性や表現力の発達が遅れる可能性もあるでしょう。
また、動画やゲームに夢中になるあまり学習時間が減少し、学力の低下につながるケースも。
スマホの利用と学習や遊びとのバランスが非常に大切です。
依存症やSNSヘの過剰な接触やリスク
現代の深刻な問題ともいえる、依存症やSNSとの関わり方も重要視したいところです。
スマホを長時間使用すると、脳が快感を覚え「依存症」に近い状態になります。
SNSは「いいね」などの承認欲求を刺激するため、依存が進むと以下のさまざまな症状につながります。
- 家庭内での会話が減少
- 学習意欲の低下
- イライラや情緒不安定
過剰利用を避けるためにも、利用制限や家庭ごとのルールが重要となるでしょう。
SNSやネットトラブルの危険性
スマホを持たせるうえで、SNSやインターネットトラブルや犯罪に巻き込まれる危険性をリスクにあげる保護者が多いです。
ネットの世界は大人以上に、子どもにとって危険が多いです。
- いじめや誹謗中傷
- 個人情報の流出
- 知らない相手との接触 など
さまざまな危険が潜んでいるなか、子どもは判断力が未熟なため、悪意ある相手の誘導に乗ってしまったり、不適切な投稿をしてしまうことも少なくありません。
ネット掲示板や動画投稿サイトでも、年齢にふさわしくないコンテンツに触れてしまうリスクも心配する保護者も多いはずです。
フィルタリング機能の活用や、日頃から家庭内でのネットリテラシー教育が不可欠となるでしょう。

スマホが子どもに与えるよい影響は?
スマホは悪い影響ばかりではなく、子どもにとってよい影響も与えます。
メリットとして、以下があげられます。
- 防犯・連絡手段としての安心感
- 教育アプリ・学習動画による知育効果
- デジタルリテラシーの習得
- 家族のつながり
メリットとデメリットの両方を確認し、それぞれに合った使い方をしたいですね。
防犯・連絡手段としての安心感
防犯のメリットという観点では、スマホは現代の防犯ツールとして非常に有効的です。
登下校中や外出先などでトラブルに巻き込まれた際、子どもがすぐに親と連絡を取れる手段があることで大きな安心につながります。
GPS機能を活用すれば居場所の把握も可能で、防犯ブザーアプリや見守りアプリを活用する家庭も増加傾向です。
特に共働き世帯では、子どもがひとりで過ごす時間が増えるため、スマホによる連絡手段の確保は重要な安全対策の1つといえるでしょう。
教育アプリ・学習動画による知育効果
スマホは学びのツールとしても高く評価されています。
子ども向けの教育アプリや学習動画は遊び感覚で学べるため、特に未就学児にとって効果的な知育手段です。
英語や算数、ひらがな、プログラミングなど、多彩な内容が揃っており、自宅で手軽に学べる点が魅力です。
映像や音声による学習は記憶の定着を助けるため、発達段階に合わせた教材を選択するとさらに効率よく学べます。
保護者が内容を選び時間を管理すると、スマホは「教育の味方」にもなりえます。
デジタルリテラシーの習得
スマホの使用は現代で重要な教育の一環です。
将来、社会で必要とされる情報活用能力やITスキルは、幼少期からのスマホやタブレットの使用を通じて自然に身につきます。
操作方法だけでなく「情報を正しく見分ける力」「個人情報の管理」などのネットリテラシーを親子で話し合いながら教えることが重要なポイントです。
早期から適切な使い方を学ばせることでトラブルを回避する力も養われるでしょう。
これからのIT社会で生き抜く力の習得につながるため、デジタルネイティブ世代こそスマホは避けるのではなく「使い方を教える」べきツールといった声も上がってます。
家族のつながり
スマホが家庭内のコミュニケーションを促進する役割も担います。
LINEなどのチャットアプリやビデオ通話を通じて、親子の会話が増えたり離れて暮らす祖父母とも気軽に交流できるため、家族間の絆を深められます。共働き家庭が増加している現代にこそ、気軽に連絡が取れる便利なツールといえるでしょう。
子どもが撮った写真や動画を共有することで、日常の中で喜びの共有も可能になり、会話も広がります。
実際に子どもにスマホを持たせている家庭の状況
デメリットやメリットは理解していても、いざ我が子に持たせるとなると心配になるのが親心です。
こども家庭庁が行った令和5年度の調査では、実際に自分専用のスマホの保有率は、小学生(10才以上)で70.4%、中学生は93.0%、高校生だと99.3%にものぼるとデータが出ています。
参照:令和5年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)|こども家庭庁
目的は、連絡手段や学習サポートとして活用するケースが多い傾向です。
ただし各家庭内でルールを作ったり、フィルタリング設定などの安全な利用を支援する取り組みは欠かせないでしょう。

子どもがスマホを利用する際に家庭でできる対策
子どもにスマホを利用させる際に、家庭でできる対策や注意点を4つ解説します。
- フィルタリング・アプリの制限
- 使用ルールを具体例に決める
- 親子でルールを話し合う
- 保護者の見守りとIT教育
安全に利用を促すためにルール作りや対策は重要です。
内容を確認し、各家庭のルール作りの参考にしてください。
フィルタリング・アプリの制限
子どもがスマホを利用するうえで、フィルタリングはインターネット上の有害情報から子どもを守るために欠かせません。
スマホには「iOSのスクリーンタイム」や「Androidのファミリーリンク」など、保護者が使用制限ができる機能が搭載されています。
有効的に活用することで、年齢に応じた安全な利用環境を整えられます。
また、SNSやゲームアプリなどは中毒性も高く、時間管理が難しいため、アプリごとの使用制限も効果的です。
スマホのフィルタリング機能を活用すると、安心・安全なデジタル生活の実現が可能です。
使用ルールを具体例に決める
子どもがスマホを使用する際、依存やトラブルを未然に防ぐために使用ルールを設けましょう。
たとえば「1日30分まで」「夜9時以降は使用禁止」「リビングのみで使用可」など、具体的なルールが最適です。
特に就寝前のスマホ使用は、睡眠の質を下げる原因となります。
子どもの年齢や生活スタイルに合わせ、各家庭ごとに現実的なルールを設定しましょう。
ルールは成長や状況に応じて、定期的に見直すとなお良いです。
親子でルールを話し合う
親子でのコミュニケーションは重要です。
ルールを決める際は一方的に決めるのではなく、子どもと一緒に話し合って決めることで子ども自身が納得しルールを自主的に守るようになります。
子ども自身が「なぜ制限が必要なのか」を理解すると、自制心やリテラシーが養われるため、ぜひお子さんの声に耳を傾けながらルールを話し合ってみてください。
その際には必ず、スマホの良い面と悪い面をバランスよく伝えるようにしましょう。
保護者の見守りとIT教育
現代の教育でスマホは便利な道具である一方、トラブルや依存のリスクも高まります。
だからこそ親が関心を持ち、日常的に「どのアプリを使っているか」「誰とやりとりしているか」などを見守る体制を整えておくと安心です。
子ども自身にインターネットの仕組みや危険性、個人情報の扱い方を教える「IT教育」も不可欠です。
ニュースを通じてネットリテラシーを学ばせたり、一緒に設定画面を操作してセキュリティの大切さを教えると効果的でしょう。
親の見守りと教育が、子どもをネットの世界から守るキーポイントです。
まとめ
本記事ではスマホが子どもに与える影響を詳しくまとめました。
身体(脳・睡眠・視力)や学業への影響も気になりますが、スマホは「害」ではなく「使い方」がすべてを決めるといっても過言ではありません。
一方的に禁止するのではなく、適切に使えるよう導くのが大切です。
子どもの成長に合わせた関わり方が鍵になるため、親自身もスマホの使い方を見直すよいきっかけになるでしょう。
子どもの見本になるよう、スマホとの付き合い方を家庭で見直してみましょう。
本記事があなたのお役に立てば幸いです。
