投稿日:2020年09月25日/更新日:2024年03月11日
紙の節約が地球を守る|無駄遣いと森林破壊の関係
毎日使うティッシュやトイレットペーパー、ノートやコピー用紙、紙袋など私たちの暮らしに欠かせない紙製品。
「紙はなるべく再利用して無駄遣いをやめましょう」とはよく聞くものの、実際は何が環境を守ることにつながるのかよくわからないですよね。
今回は、紙の無駄を無くすことで、どのような環境問題に貢献できるのかを紹介します。
紙の無駄遣いで起こる2つの環境問題
紙の供給過多や無駄遣いをすることで起こる問題点を2つ紹介します。
- 森林資源の枯渇
- 地球温暖化
それぞれ解説します。
森林資源の枯渇
紙の原材料は主に森林資源。
世界の森林面積は約40.3億ヘクタール、全陸地面積の約31%を占めています。
しかし、世界の森林は減少を続けており、毎年520万ヘクタールが無くなっているのです。
森林資源が枯渇する原因の1つに、紙の原材料として利用するための過剰な伐採があげられます。
紙の生産が多くなればなるほど、その分の森林破壊につながるのです。
地球温暖化
過剰な森林破壊は、昨今問題視されている地球温暖化にもつながります。
IPCC第6次評価報告書(2021)によると、世界の平均気温は18世紀半ば以前の工業化前と比べて、2011~2020年のうちでも1.09℃上昇しています。
CO2やメタンなどの「温室効果ガス」が大気中に増えすぎたことが原因ですが、CO2の吸収源である森林が減少していることも関係しているのです。
植物は光合成によって、CO2を吸収し酸素と炭素を作り出しています。
そのため、多くの森林が伐採されたことでCO2が増え続けていると考えられています。
紙製品が諸悪の根源ではない
森林破壊や地球温暖化につながる一旦を担う紙製品ですが、その全てが原因とはいい切れません。
例えば、サステナブルな森林資源を活用した製品なら、森林の成長度を見極めた植林や伐採を行うことで、森林破壊することなく環境バランスを保ったまま事業を継続する取り組みを行っています。
そのため、わたしたちができることは「使う紙を変える」ことです。
サステナブルな「紙」5つ
環境に配慮された「紙」はたくさんの種類があります。
- 再生紙
- FSC®森林認証紙
- PEFC森林認証紙
- 間伐材紙
- 木材以外の紙
それぞれ解説します。
再生紙
再生紙は古紙が配合されたリサイクル用紙です。
国内の古紙利用率は66.3%、回収率は79.5%(2022年)で、世界的にも高いリサイクル率を誇ります。
リサイクル後の用途は、段ボール・板紙・新聞・ティッシュペーパー・コミック誌、はたまた国や官公庁の用紙など、さまざまな用途に使われています。
ただし、古紙が少しでも混じっていれば「再生紙」と定義されるため、配合率が1〜100%までブレ幅はありますが、リサイクル率の高い日本では配合率70%の製品が多いようです。
実際に購入するときも、再生紙の配合率をチェックしてみましょう。
FSC森林認証紙
FSC(Forest Stewardship Council|森林管理協議会)は、責任ある森林管理を世界に普及させることを目的に設立された国際的な非営利団体。
FSC森林認証紙とは「森林の成長量や蓄積を考えた伐採・植林・整備を適切に行い、森林の再生産を進めていく取り組み」のことです。
厳しい審査に通過した製品は「FSC森林認証」のマークが目印。
わたしたちがFSC森林認証マークの入った製品を購入することで、適切な森林管理を行っている林業者を支援し、世界の森林保全を応援できます。
PEFC森林認証紙
「PEFC森林認証紙」は、各国にある森林認証を、貿易するときに相互的に認め合うための仕組みです。
1999年に発足し、今では149ヶ国が支持する制度になっています。
世界統一の規格や基準は設けておらず、国別で決められた審査基準を加盟国家内で相互認証する仕組みです。
間伐材紙
間伐材紙とは、森林の育成のために伐採された「間伐材」を原料として活用した紙の総称です。
木が成長して、森林内が過密になると、地表まで光が届きにくくなり、木々が健康的に成長することができません。
そこで、木々の一部を伐採して手入れすることで、森林全体の健康を保っています。
非木材紙
非木材紙とは、木材以外の植物や副産物を原料として作られた紙のことです。
- バガス(サトウキビのしぼり汁)
- コットンリンター(綿)
- 竹など
木材と比較すると成長が早く、本来は廃棄するものを再利用しているため、環境保全に役立っています。
まとめ:使う紙を変えて環境を守ろう
わたしたちの暮らしに欠かせない紙製品ですが、さまざまなリサイクル商品やサステナブルな取り組みを行っている商品にあふれています。
紹介したマークのカタチだけでも覚えて、ほしい紙製品の表示をチェックしてみませんか?
ほかにも…
- 両面印刷をする
- 資料を電子化する
- 裏紙をメモに活用する
など、かんたんに始められることもたくさんあります。
「使う紙を変える」たったこれだけで、環境を守ることにつながります。