深掘りコラム

投稿日:2024年11月30日/更新日:2024年11月30日

企業がSDGsに取り組むメリットと面白い取り組み事例5選を紹介

  • 企業SDGsの具体的な取り組み方が分からない
  • 面白い企業SDGsはどのような例があるのか知りたい

このように悩む担当者の方も多いのではないでしょうか?

また、せっかく取り組むのなら、面白い取り組みをしたいですよね。

本記事では、企業がSDGsに取り組むメリットや面白い取り組み事例、取り組む流れなどを解説します。

ぜひ参考にして、自社にしかできない取り組みを見つけてください。

そもそもSDGsとは?

SDGs(持続可能な開発目標)とは、「経済」「社会」「環境」の安定を達成し、世界中の人々が幸せに暮らせる社会を目指す国際目標です

地球上の誰1人取り残さない活動として、日々さまざまな活動が行われています。

企業SDGsでは、企業活動を通して17つのSDGs目標の達成を目指す活動のことを指します。

参照:SDGsとは?|外務省

企業がSDGsに取り組むメリット

企業がSDGsに取り組むメリットは、ブランディングや資金調達など、さまざまあります。

主なメリットは以下の通りです。

  • ビジネスチャンスになる
  • 企業イメージを向上できる
  • 資金調達がしやすくなる

それぞれ解説します。

ビジネスチャンスになる

SDGsへの取り組みを通して、新しいビジネスチャンスが得られるのも大きなメリットです。

同じ方向性や類似の課題解決に取り組む企業や行政、NPO、教育機関など新たな取引先や事業パートナーの獲得につながりイノベーションが生まれます。

SDGsの17目標を起点にして、問題解決のための新規事業の創造や、他業種との協働など、さまざまな働きかけができるでしょう。

企業イメージを向上できる

SDGsが掲げる目標は国内に限らず世界で取り組むべき課題のため、SDGsに取り組む企業は「社会的責任感の強い会社」として認識されます。

SDGsへの取り組みを通して、社会貢献を果たすだけではなく企業のブランドイメージを向上させ、顧客や投資家や取引先からの信頼を得られるのもメリットです。

また、SDGsへの取り組みはESG投資が主流になっている投資家からの評価にも直結します。

ESGとは、ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナン(Governance)の3つの観点をもとに投資先を決めることを言います。

よいイメージの企業には、先進的な思考をもった優秀な人材が集まるため、SDGsに積極的に取り組む企業は、人材の採用においても有利になるでしょう。

資金調達がしやすくなる

ESG経営に積極的な企業は、持続的な成長が見込めるとして評価が高く、資金調達において有利な条件が得られます。

その結果、大手から地域金融機関までさまざまな金融機関で、SDGs融資を受けられます

SDGs融資とは、SDGsの取り組みを行っている企業向けの融資で通常の借り入れとは別に融資を受けられる制度です。

各都道府県におけるSDGs登録・認証申請制度については、こちらでまとめておりますので活用ください。

都道府県別SDGs登録・認証申請制度

SDGsの面白い取り組み事例5選

せっかく取り組むなら何か面白い取り組みをしたいですよね。

本章では、実際に行われている面白い事例を5つ紹介します。

⽊内酒造株式会社

木内酒造株式会社は、日本のクラフトビールの代表として50カ国以上で知られています。

木内酒造株式会社では、廃棄されるビールを再利用した取り組み「SAVE BEER SPIRITS」を開催。

賞味期限がせまるビールを無料で蒸留し、新しいクラフトジンとして再生させました

また、コロナ禍では、工場で余ったビールを活用して⼿指消毒用の高濃度エタノールを製造。

この高濃度エタノールは、消毒用アルコールが足りていなかった自治体や医療機関に無償で提供され、社会貢献にもつながっています

※現在取り組みは終了しています。

参照:[お知らせ]SAVE BEER SPIRITS クラフトビール(樽)を無料でクラフトジンに蒸留します|⽊内酒造

森永製菓株式会社

森永製菓株式会社では、子ども向けに未来のお菓子のアイデアを募集するキャンペーンを実施しました。

子どもたちに未来のお菓子について考えてもらうことで、SDGsがより身近なものとなり、さらに理解を深めるきっかけとするのがキャンペーンの狙いです。

2024年夏のキャンペーンでは、小学4年生が考案した「みんなニコニコチョコボール」などが受賞しています。

受賞したお菓子は、経済的に恵まれない国の特産物を原材料にしたチョコボールを発売し、売り上げの一部をその国の子どもたちの支援になっています

※現在取り組みは終了しています。

参照:サステナブルなおかしって、どんなおかし?|森永製菓

象印マホービン株式会社

炊飯試験で発生する余ったごはんをアップサイクルさせる取り組みとして、2021年から「ごはんで作った除菌ウエットティッシュ」の商品化をおこなっています。

炊飯ジャーを開発する際に生まれてしまう、試食時の食品ロス(余ったごはん)は、これまで堆肥化としてリサイクルしていたものの、生ゴミと同じように処理していました。

しかし、食材から高品質のアルコールを精製する技術を持った株式会社ファーメンステーションとのコラボで、余ったごはんをアルコールの原料にした「除菌ウエットティッシュ」を商品化しました。

「除菌ウエットティッシュ」は、象印食堂の店頭やECサイトや企業向けのノベルティー商品として販売されています。

参照:炊飯試験時のごはんから作る発酵アルコールを配合した「ごはんで作った除菌ウエットティッシュ」 商品化|象印マホービン株式会社

くら寿司

くら寿司では、漁業創生・環境保全・技術革新・地域社会の4つのテーマを軸に、多くのSDGsな取り組みを実施しています。

特に2021年からは、食品ロス問題や海の資源問題、食育を育むために、小学生などを対象に出張授業を開始しました。

2050年には「魚よりもゴミが多くなる」とも言われているので、このような活動を通して広くSDGsを広めています。

参照:くら寿司のSDGs サスティナビリティへの取り組み|くら寿司

株式会社勤労食

株式会社勤労食は、企業や市役所の食堂を運営する会社です。

勤労食では、食べられるスプーン「 PACOON(パクーン)」の販売をスタートしました。

「 PACOON(パクーン)」は、国産野菜を使って作られたスプーン型のクッキーで、添加物は使っていません。

そのため、子どもにも安心して食べさせられます。

使い捨てスプーンの代わりに「 PACOON(パクーン)」を使えばプラスチック廃棄量を減らせ、食育にもつながります。

参照:PACOON

企業がSDGsに取り組む流れ

企業がSDGsに取り組むには「SDG Compass」が指針となります。

「SDG Compass」とは、企業の事業にSDGsがもたらす影響を解説し、持続可能性を企業の戦略の中心にするツールと知識を提供するものです。

参照:SDG Compass SDGs の企業行動指針—SDGs を企業はどう活用するか—|GRI 国際連合 WBCSD

SDGsの理解

まずは、SDGs について正確な理解が必要です。

  • SDGsの17の目標がどのようなものか
  • 企業が活用する意義とメリット
  • 企業が持つ社会的な責任

プロジェクトの推進メンバーがSDGsについて学習し、社内向けセミナーなどを通してSDGsの必要性や意義を全社に浸透させましょう

課題の決定

SDGsが理解できたら、17の目標の中から優先課題をしぼりこみましょう

「SDG Compass」では、自社ビジネスの一連の流れを可視化するために「バリューチェーン」の活用を推奨しています。

以下のポイントで分析をし、課題を決定しましょう。

  • 自社にとって影響が大きい領域とSDGsにおける影響領域の関係を整理し、適切な優先課題(目標やターゲット)を特定する
  • 優先課題を特定する際は、負の影響も正の影響も考慮する
  • 文書化し、定期的に確認する

正の影響と負の影響をそれぞれ整理しマッピングし、正の影響はさらなる強化、負の影響は最小化を検討するのが大切です。

目標設定

課題が決まったら、具体的な目標を設定します。

  • いつまでに達成したいのか
  • 何%達成したいのか
  • 達成のためにおこなう取り組み

たとえば「現在は年間○○万台であるエコカーの販売台数を2025年までに○○万台まで増やす」などのKPIを考え、外部にも公開しましょう。

KPIはステークホルダーとの対話の基盤になり、社員が前向きに取り組むための目標にもなります

経営への活用

設定した目標を経営に統合し、企業に定着させましょう

「SDG Compass」では、特に以下の3点を重視しています。

  • 経営トップ主導で進める
  • 事業部を越えて取り組む
  • パートナーシップを育てる

経営へ活用するためには、経営層のリーダーシップと社員の理解が必要不可欠です。

SDGsに取り組む理由やSDGs経営で得られるものを全社員に浸透させ、組織全体の推進力を高めましょう。

また、部門の垣根を越え、他社との協力関係をも育む「SDGsを自社経営の一部とする大規模な施策」が求められます。

社外への報告・発信

目標に対する進捗状況や達成度、実践内容は主要ステークホルダーに定期的に報告しましょう。

優れた取り組みをおこなっても、外部に発信しなければ、SDGsを重視しない企業ととらえられてしまいます

一方で、自社の社会貢献度を発信すれば評価や信頼度が高まり、新たな投資やビジネスチャンスにつながります。

まとめ

企業がSDGsに取り組むと、ビジネスチャンスが生まれたり、企業イメージが向上したりします。

また、資金調達がしやすくなるため、持続可能な企業として発展する可能性も高まるでしょう。

実際に、SDGsに取り組んだ企業は新たなビジネスチャンスをつかみ、発展を続けています。

SDGsに取り組む際には「SDG Compass」を指針とし、SDGsを正しく理解したうえで取り組みましょう。