投稿日:2025年05月16日/更新日:2025年05月16日
企業のウェルビーイングにはメンタルケアが重要|理由やケア方法、注意点も解説
多くの企業担当者は、従業員の定着率やエンゲージメント(企業への愛着)を向上させたいと考えているのではないでしょうか?
そこで、従業員や関係者の幸せ度を底上げするウェルビーイング経営など施策を行ったものの、なかなか成功につながらないケースもあるでしょう。
実は、ウェルビーイングには「精神(メンタルヘルス)」へのケアが最も重要です。
本記事では、ウェルビーイングとメンタルヘルスの関係について、理由やメリット、対策ステップまでわかりやすく解説します。
ぜひ参考にして、自社のウェルビーイングを成功させましょう。

メンタルヘルスとウェルビーイングの関係性
ウェルビーイング(well-being)とは、身体的・精神的・社会的の3つが良好な状態であることを指す言葉です。
ウェルビーイングを成立させるためには、精神的(メンタルヘルス)を健やかに保つことが欠かせません。
その理由は、精神的に安定していれば、身体的・社会的にも健康につながるためです。
そのため、精神的な問題をクリアしてはじめて、身体的・社会的な健康基準を満たせるといえます。
ウェルビーイング成功にメンタルケアが必要な3つの理由
ウェルビーイングを実現するために、メンタルヘルスが必要となる理由は以下のとおりです。
- 精神的なゆとりは幸福度に大きく影響する
- ストレス社会の中でメンタルケアは必須
- ウェルビーイングの度合いを測るスコアに必須
各理由の詳細は、以下のとおりです。
精神的なゆとりは幸福度に大きく影響する
従業員のメンタルを重視し、心にゆとりを持って働ける環境を提供することができれば、幸福感が高まってウェルビーイングにつながります。
ある調査では、経済的・精神的・時間的なゆとりが高まるほど、幸福度も比例して高くなるという結果が明らかになりました。
従業員のメンタルを考慮して、ゆとりを持って働ける環境を作ることができれば、幸福感が高まりウェルビーイングも自然と高まっていくのです。
参照:第11 回 ライフデザインに関する調査|株式会社第一生命経済研究所
ストレス社会の中でメンタルケアは必須
現代は「ストレス社会」と呼ばれており、多くの従業員がストレスを抱えています。
参照:職場における心の健康づくり|厚生労働省独立行政法人労働者健康安全機構
上記の表では、約過半数以上の従業員が何らかのストレスを感じていることを表しています。
そのため、メンタルへの対策を行うことが急務です。
メンタルの問題は表に現れにくいため、企業がしっかりとケアすることが大切といえるでしょう。
ウェルビーイングの度合いを測るスコアに必須
ウェルビーイングの進め方や度合いを測るフレームワークの中には、必ずメンタルヘルスの項目が存在します。
たとえば、以下のようなモデルです。
- PERMAモデル
- Gallup社モデル
- アイディール・リーダーズのモデル
このモデルの中には「ポジティブで明るい感情を抱く」「人間関係が良好である」「心身が健康である」など、メンタルに関する項目が共通しています。
そのため、モデルに沿ってウェルビーイングを実行するケースでは、必ずメンタルヘルスの項目をクリアする必要があるのです。

ウェルビーイングにメンタルケアを重視するメリット3つ
ウェルビーイングにメンタルヘルスケアを重視して取り入れるメリットは以下の3つです。
- 企業イメージアップにつながる
- 生産性向上につながる
- エンゲージメント向上につながる
各メリットについて、詳しく解説します。
企業イメージアップにつながる
1つめは、企業のイメージアップにつながる点です。
メンタルケアを重視したウェルビーイングの結果を公表したり社内外に公表することで、クリーンなイメージを普及できるでしょう。
また、イメージアップすることで、優秀な人材が集まりやすい点はもちろん、融資や新案件などを受けやすいメリットも生まれます。
生産性向上につながる
2つめは、生産性向上につながる点です。
メンタルケアを重視することで、モチベーションを維持しやすいため、おのずと生産性が向上します。
たとえば「短納期で焦って仕事をする」「上司からの圧力におびえながら仕事をする」「同僚からのいじめがひどい」などの職場だと、生産性以前の問題でしょう。
また、精神的に安心して働ける職場というのは、ミス防止や事故防止にもつながります。
危険が伴う仕事や集中力が必要な業務など、精神的に安定した環境が必須です。
エンゲージメント向上につながる
最後は、従業員のエンゲージメント向上につながる点です。
メンタルケアを重視することで、従業員からの理解や共感が生まれ、帰属意識や愛着心(エンゲージメント)を向上できます。
エンゲージメントが向上することで、定着率が向上し離職率を低減できるでしょう。
また、よりよい指導を継続できるため人材育成のノウハウが貯まったり、プロの集団を形成できるなどのメリットも考えられます。

ウェルビーイングにおけるメンタルケア法4選
ウェルビーイングのメンタルケア方法は以下の4つです。
- セルフケア
- ラインケア
- スタッフケア
- 外部ケア
各メンタルヘルスケア方法について、詳しくみていきましょう。
セルフケア
1つめのケア方法は、自分で実施する「セルフケア」です。
従業員がプライベートでも個人的にケアできるよう、企業からメンタルヘルスに関する正しい情報やケア方法を紹介します。
具体的には、社内掲示にメンタルヘルスに関する情報を掲載したり、セミナーや講義を開催したりする方法です。
また、厚生労働省が発表している無料でできる「ストレスチェックテスト」を実施するのも最適でしょう。
まずは「メンタルヘルス」について知ってもらうことから始めるのがポイントです。
ラインケア
ラインケアとは、管理監督者が実施するケアのことです。
管理監督者によるケアとしては、職場環境の把握や改善を図ったり、部下からの相談に対応したりします。
また、部下が休職した場合の職場復職をサポートすることも、ラインケアの重要な役割です。
通常、メンタル不調者が休業した後、職場復帰するのは難しいものです。
そこで、職場復帰をスムーズかつ1回で確実に成功させることができるかが重要となります。
スタッフケア
スタッフケアとは、産業保健に関連するスタッフなどによるケア方法のことです。
産業保健スタッフは、主に以下の専門家が担当するケースが多いです。
- 産業医
- 衛生管理者
- 保健師
- 社内カウンセラーなど
産業保健スタッフは、事前に計画を立てて相談者への支援や職場外との間のネットワーク形成や窓口となったり、復帰を支援したりする役割を担います。
外部ケア
外部ケアとは、外部機関やサービスを活用して実施するケアのことです。
メンタルが不調気味の従業員の場合、スタッフケアを受けたくないケースも少なくありません。
これは、プライベートな内容を知られたくないなどの理由があるためです。
そこで、外部の窓口や専門機関からサポートを受けられる体制を整えることが重要です。
ウェルビーイングのメンタルケアを行う際の注意ポイント
メンタルケアを重視したウェルビーイングの際に、注意したいポイントは以下のとおりです。
- 個人情報をしっかりと保護する
- メンタル問題を理由に不当な扱いをしない
- メンタルケアの重要性を周知させる
それぞれチェックしましょう。
個人情報をしっかりと保護する
メンタルケアを実施するには、従業員の個人情報を収集することになります。
仮に個人情報が流出すれば、個人の実質的な被害はもちろん、会社に対する信頼も崩落してしまいます。
そのため、センシティブな個人情報の取り扱いには十二分に注意しましょう。
メンタル問題を理由に不当な扱いをしない
メンタルの問題を理由に、解雇宣告・給料の減額・退職を勧める・休職命令などの不当な扱いをすることはNG。
少なからず、多少のメンタル問題だけで即座に判断するのは危険です。
仮に「休息が必要なほどメンタルが参っている」「本人の意思や希望がある」「勤務成績が著しく損なわれている」ケースでは、そのレベルに沿った対応を心がけましょう。
メンタルケアの重要性を周知させる
最後は、メンタルケアの重要性を社内に浸透・周知させることです。
たとえば「メンタルの不調は心が弱いから」「努力や忍耐が足りない」「甘えている」などの認識は間違っています。
そのため、正しいメンタルヘルスについて、従業員の認識レベルをリサーチしたり、情報を共有し続ける施策がポイントです。
まとめ
ウェルビーイングを向上させるためには、メンタルヘルスケアは欠かすことができません。
生産性の向上や離職率の低下だけでなく、企業の業績やイメージを向上させるためにも、メンタルヘルス対策は重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、メンタルヘルス対策にも積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。
