投稿日:2021年09月13日/更新日:2023年12月04日
太陽光発電システムの真実6つ|元従業員が徹底解説
地球環境への意識が高まり、一般家庭においても太陽光パネルを設置して太陽光発電を行うケースが増えています。
このような悩みはありませんか?
- 売電はもうオワコン?
- まだ発電した電気は売れるの?
- 実際に節約になるの?
- 設置や導入した費用の元は取れるの?
今回は数年間、太陽光発電システム・ソーラーパネルの施工管理会社で、施工管理や電力申請を担当していた元従業員の目線で問題に切り込みます。
太陽光発電システムには主に2つに分別されます。
- 一般家庭用の低圧(小規模発電)
- 事業所や大規模な高圧(大規模発電)
ここでは、一般家庭用の「低圧」について解説しますね。
ぶっちゃけた裏話も、たくさん紹介できればと思います!
ぜひ、太陽光発電システム導入の参考にしてください。
太陽光発電システムの基礎知識
まずは簡単に太陽光発電システムの基本的な知識をおさらいしましょう。
太陽光発電とはその名の通り太陽の光を使った発電方法で「太陽光パネル(ソーラーパネル)」に太陽の光が当たることで電気を生み出します。
発電時にCO2を一切発生させないため、再生可能エネルギーのひとつとして注目を集めています。
従来行われてきた火力発電や原子力発電と比較して環境にやさしく安全で、光さえ当たれば設置場所を選ばないため、さまざまな場所で活用されています。
家庭用のソーラーパネルを設置することで自宅で発電することができ、自宅で使う電力をまかなうことや電気を売る「売電」も行うことができます。
続いては太陽光発電システムを一般家庭で導入するメリット・デメリットをご紹介します。
戸建て住宅に太陽光発電システムの真実6つ
自宅に太陽光発電システムを導入する真実を6つ紹介します。
1:光熱費の節約になるのはカラクリがある
太陽光発電システムで電力を生み出せば、自分の家でその電力を使うことができます。
自宅で発電した電力を使うことを「自家消費」、自宅で発電することを「自家発電」といいます。
今まで電力会社から電力を購入していた分の電気代を大幅に節約することが期待できます。
また、オール電化の家であればその効果はさらに高まるでしょう。
……というのはよくいわれることですが、訂正します。
太陽光発電システムで生み出す電気は「貯める」ことができません。
そのため、昼間の電力は自家発電で賄うことは可能です。
ただし、夜に関しては、日の入りとともに太陽光発電システムは発電を終了しているため、一般的によく使う夕方から夜間の時間帯は自家発電による電力供給はできません。
そこで、夜間でも太陽光で発電した電力を自家消費するために、太陽光発電システムとセットで導入される「蓄電池システム」が必要です。
蓄電池はその名の通り、電気を貯める電池です。
ただし、ここにも落とし穴があります。
一般的に考えると「太陽光発電システムと蓄電池システムを導入したんだから、昼間の自家発電分の電気を蓄電池に入れて夜に使うんだろうな~!」と思いますよね。
それ、違うんです。
正しくは「昼間の自家発電分は自家消費か売電に回し、深夜帯の料金が安い電力で蓄電池を充電して朝~夜に消費している」です。
そのため、太陽光発電・蓄電池システムを導入する際に、電力プランを切り替えませんでしたか?
オール電化プランの「スマートライフプラン(旧電化上手)」「はぴeタイム」「でんかeプラン」「電化でナイト」「よりそうシーズン」「エフルナイト」など。
これは、23時からの電気代が安くなるプランです。
深夜帯の安い料金で蓄電池を充電しているだけ。
なので、安い電気を貯めておくのだから、光熱費は抑えることはできる…というカラクリがあるんですね。
2:売電価格は下がり続けている
自家発電した電気を自家消費して、余った電力を売却することができる、ではなく蓄電池に電力を貯めたおかげで、売電ができるわけです。
ちなみに、売電価格は年々下がり続けています。
2023年の売電価格は下記の通りです。
- 容量が10kW未満で16円/kWh
- 10kW以上50kW未満の場合は10円/kWh
- 50kW以上となると9.5円/kWh
10年間同じ価格で買い取りを行ってくれる「FIT制度(固定価格買取制度)」は、太陽光発電システムを導入し、申し込みが完了した年の価格で一定されます。
価格が決まる申し込みの期限は、毎年10月~11月。(各電力会社によってバラツキがあります)
期限を超えると、次年度の売電価格で固定されるので、買い取り価格は安くなる一方です。
過去5年の買い取り価格の推移を見ても明らかに下がり続けているので、新規の売電はあまりうまみはないでしょう……。
2023 |
16円 |
2022 |
17円 |
2021 |
19円 |
2020 |
21円 |
2019 |
24~26円 |
3:耐用年数は高いがメンテナンスは必須
他の発電方法は可動パーツが多いため、寿命が短くなってしまうことが多いのですが、ソーラーパネルには可動パーツがないため長持ちさせることができます。
メーカーの保証も25年のものが多く、25年かそれ以上の使用に耐えうる設計です。
……と、よくいわれていますが。
きちんと耐用年数をクリアできるには、いくつかの条件が必要です。
- 定期的なメンテナンスを実施する
- 自然災害が起こらない
- アクシデントが起こらない
パネルを設置し続けると、ホコリや汚れによって発電効率が年々下がり続けます。
また、屋根とパネルの間はとても汚れが溜まりやすく、屋根材の劣化(雨漏り・腐り)の原因に。
そのためにも、5年~10年に1度(戸建て住宅での屋根・外壁塗装と同じぐらいの周期がベスト)で、クリーニングする必要があります。
もちろん、ただの屋根・外壁塗装に、プラスαでパネル清掃費用も必要です。
そして、年々勢いを増す自然災害や何らかのアクシデントによって、パネルに傷が付いたり、損傷したりすることも考えられるでしょう。
そうなれば、高額なリサイクル費用や修理費用を払って対処しなければなりません。
4:初期費用が高額
ソーラーパネルを設置するには、パネル本体の価格に加えて工事費用がかかります。
設置費用の相場は約150~250万円ほど。
そのため、設置の際にはまとまったお金が必要です。
ただし、2023年1月からは太陽光発電と蓄電池のセットを設置した場合に限り補助金があります。
補助金の上限は15万円/kWhで、最大45万円ほどです。
実際の工事や導入費用と補助金を天秤にかけて、比べてみましょう。
5:発電量が天気に左右される
太陽の光をエネルギーにして発電を行うので、当然太陽光が届かない時には発電できません。
曇りの日や雨の日には発電量が大幅に減ってしまうので、梅雨の時期などには電力不足になる可能性があります。
また、太陽が出ている時間が短い冬の間は発電量が少なくなる傾向に。
安定的な発電は期待できないでしょう。
6:施工した穴が害虫・害獣の通り道になる
最後に、太陽光システムを導入するためには、さまざまな付随するシステムの導入が必要です。
例えば、太陽光の電力を家庭内で使えるように変換する「パワーコンディショナー」や「蓄電池」「発電を管理するタッチパネル」など。
特に、蓄電池は家の周囲に設置し、外壁に穴をあけてコード類を通す必要があるので、その穴がきちんと塞がっていないと害虫や害獣の通り道になってしまいます。
ただし、これはエアコンの室外機やエコキュートでもいえることです。
害虫・害獣が寄り付かないようにきれいに保つことや、パテやネットを活用して隙間を埋める対策が必要でしょう。
クリーンなエネルギーだが考える必要はある
太陽光システムによる発電は温室効果ガスを排出せず、クリーンに電気を作り出すことができます。
SDGsの目標7:「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」への貢献につながるとして推し進められていますが、果たしてそうでしょうか。
実際には、高圧発電を行うために山を切り開き、地滑り、山崩れ、森林破壊が起こっています。
ほかにも、池にソーラーを並べたがために、反射した光がまぶしいと問題になった地域もありました。
その他にも、たくさんの問題が山積しています。
まずは、太陽光発電システムを導入するまえに、きちんと事実を調べることが大切です。