投稿日:2024年01月05日/更新日:2024年01月05日
Transparent 2023|世界のプラスチック最新レポートをWWFが公表
国際環境NGO世界自然保護基金(WWF)は、2023年版「Transparent 2023」を公表しました。
本記事では、Transparent 2023 について分かりやすく深掘りします。
ぜひ、世界のプラスチックの現状を知ってみましょう。
「Transparent」とは
Transparent (トランスペアレント)とは、国際環境NGO世界自然保護基金(WWF)の傘下であるReSource(リソース)が毎年発表するレポートの1つ。
主に、主要企業がプラスチック廃棄物への対応に向けて、どのような進捗を見せているかを詳しく紹介しています。
今回の2023レポートは、第4回目です。
WWFについて
国際環境NGO世界自然保護基金(WWF)は1961年に設立された、100カ国以上で活動している環境保全団体です。
「人と自然が調和して生きられる未来」をめざして、失われつつある多様的な豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。
ReSourceについて
ReSource(リソース)はWWF傘下の1組織で、プラスチック廃棄物危機への取り組みを主導する企業や組織をまとめる団体です。
主要メンバーは下記のとおりです。
名だたる有名企業がメンバーとして参画しています。
参照:ReSource About|ReSource
Transparent 2023 プラスティックレポートの内容
2023年の12月末に発表されたTransparent 2023 のレポート内容を紹介します。
それぞれ下記の4つにわけて紹介します。
- 世界のプラスチックの総重量
- 再利用可能なプラスチック量
- 各企業の取り組み
- 今後の取り組み
それぞれ見ていきましょう。
世界のプラスチックの総重量
世界のプラスチックの総重量は、2021年は720万トンから2022年の726万トンへと0.8%増加しました。
下記は2018年から2022年の報告期間におけるプラスチックの総トン数です。
参照:Total plastic tonnages for the 2018 through 2022 reporting periods|Transparent 2023
各年にリソースメンバーによって報告されたプラスチックの総トン数では、参加企業9社のうち、プラスチックの絶対量をベースラインから削減したのは4社で、増加したのは5社でした。
また、下記はプラスチックのカテゴリ別の内訳を表したグラフです。
(筆者にて日本語へ翻訳しています)
参照:Polymer breakdown by form category for ReSource Members’ aggregate plastic portfolio|Transparent 2023
ペットボトルは、全体の中で最も⼀般的な包装タイプであり65.5%を占めるメインカテゴリー。
その他のフレキシブル材が13.8%で続き、その内7.3%は「その他」ポリマーに分類され、複数のポリマーを使⽤したマルチマテリアルフレキシブル材を指しています。
再利用可能なプラスチック量
再生利用可能なプラスチック量は、2021年の10.2%から2022年には12.0%に増加。
また、再利用可能なプラスチックパッケージは2021年の70.4%から2022年は72.5%と各段に増えています。
参加企業9社のプラスチックはリサイクルされ、約9%が焼却、42%が埋め⽴て、15%が不適切に管理されている可能性があると公表されました。
各企業の取り組み
スターバックスでは「地球から得るもの以上のものを還元する」という環境約束を掲げており、 2030年までに廃棄物、水、CO2排出量を半減するReSourceの取り組みを支えています。
参照:A message from Starbucks ceo Kevin Johnson: Starbucks new sustainability commitment|Starbucks stories&News
また、世界市場で約20回に渡り再利用可能なカップの導入テストを実施。
そして、使い捨て包装だけでなく、リサイクル素材を30%以上と一部のプラスチックを25%削減した「FSC(森林管理協議会)認証」の使い捨てカップや、アメリカとカナダでは100%rPET(リサイクルポリエステル) ウォーターボトルへの移行など、使い捨てパッケージを提供しています。
参照:Starbucks Innovates, Tests and Learns from Store Partners to Achieve Waste Goals|Starbucks stories&News
参照:Starbucks Latest California Borrow A Cup Test Furthers Company’s Shift Toward Reusables|Starbucks stories&News
今後の取り組み
今後の取り組みは、Transparent 2023 のConclusion(結論)を要約して締めくくりたいと思います。
参照:Conclusion|Transparent 2023
ReSourceの公開レポートの第4回目となる「Transparent 2023」は、プラスチックの廃棄物問題に対処するための価値のあるデータです。
Transparent 2023 の結果は、各企業がプラスチック問題を解決するために起こした小さな行動は、より大きく体系的な改革の必要性を証明しました。そのためには、世界規模で実現できるような枠組みが必要です。
地球で起こってるプラスチック汚染問題を解決するためには、問題の抜本的な改革やシステムの導入などの行動が欠かせません。
1企業はその絶大な影響力を活用することで、必要なシステム変更を推進し、自社の行動をさらに広範囲に広められるようにスマートプラスチック政策を国家レベルおよび世界レベルで提唱していきましょう。
国連は2022年3月に歴史的な一歩を踏み出し、加盟175カ国がプラスチック汚染に対処するための法的拘束力のある世界条約に賛成票を投じました(国際プラスチック条約:The Global Plastics Treaty)。
WWFは、世界中のすべての人へプラスチックについての啓蒙活動を広げていきます。
まとめ
Transparent 2023 は2023年の12月末にWWF傘下グループから発表された、プラスチックの使用量や再利用量をまとめたレポートです。
結論として、世界のプラスチックの総重量は0.8%増加したものの、リサイクル可能なプラスチックは12%増加しました。
使用済みプラスチックは多くがリサイクルされているものの、約15%はいまだに不適切な管理下にあり、どのように処分されているかははっきりしていません。
わたしたちも、リサイクル活動をしっかり行い、地球環境や動植物の保全をサポートしましょう。
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