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投稿日:2024年08月06日/更新日:2024年08月06日

太陽パネルの2030年問題|廃棄の費用目安やリサイクル義務化への取り組み

近年、電気代の高騰にともなって、自然エネルギーへの注目が高まっています。

東京都では、2025年4月から各家庭での太陽光パネルの義務化がスタート

しかし、太陽光発電はまだ新しい発電方法のため、よく分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、太陽光パネルの2030年問題や廃棄費用の目安、処分方法について解説します。

太陽光パネルを設置している人はぜひ参考にしてください。

太陽光発電とSDGsの関係性

太陽光発電は、SDGsの気候変動に対応できるクリーンな再生可能エネルギーとして、重要な役割を担ってます。

再生可能エネルギーとは以下のとおりです。

  • 二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを出さない
  • 化石燃料とは異なり繰り返し利用できる

その一方で、太陽光パネルが適切にリサイクルされない場合は有害物質が地表に流れ出すリスクや、野立てパネルの地すべりなどで環境破壊に繋がっている側面もあります。

そのため、まずは太陽光パネルの適切なリサイクル処理が求められます。

太陽光パネル2030年問題

太陽光パネルの2030年問題とは、現在設置されている多くの太陽光パネルが2030年代に寿命を迎える問題です。

太陽光パネルは、2012年7月から開始したFIT制度(電力会社が一定期間・一定価格での再生エネルギーの買い取りを国が保証する制度)の登場で急増しました。

環境負荷の軽減が目的の制度でしたが、買取価格を高くしたために発電事業者が数多く参入し、太陽光パネルが急速に普及。そのため、多くの太陽光パネルが2034〜2036年に寿命を迎えます。

2030年代に排出される使用済みの太陽光パネルは、約17〜28万トン年にのぼると予測されます

現在廃パネルは埋め立て処分されていますが、このまま廃パネルの再資源化が進まないと埋め立て処分場がひっ迫するでしょう。

この廃パネルの増加による埋め立て処分場のひっ迫が、2030年問題です。

太陽光パネルの廃棄処分にかかる費用の目安

本章では、太陽光パネルを廃棄する際に発生する費用の内訳を解説します。

費用の詳細は施工会社や販売会社に見積もりを依頼しましょう。

撤去費用

太陽光パネルの撤去費用は、約20万円〜30万円ほどかかります。

また、家屋をそのまま使い続ける場合は、屋根の修復費も必要です。

部分補修なら数万円〜30万円、ふき替えもするなら100万円前後かかります。

処分・運搬費用

撤去したソーラーパネルは決められた場所に運び、所定の方法で処分しなければなりません。

処分費用はパネルの枚数や処分場までの距離によって異なります。

回収・再資源化サービスを行う専門業者に依頼した際、単結晶ソーラーパネルの重さが18㎏以下の場合、1枚あたり1,200円ほどです。

太陽光パネルは産業廃棄物として処理する

太陽光パネルは、鉛やカドミウム、セレンなどの有害物質を含んでいる産業廃棄物です。

産業廃棄物は、法律で定められた適切な方法に応じて廃棄する必要があります。

違反すると罰金刑や懲役刑が科せられる可能性も。

無理に自己処分したり、無資格業者に依頼したりすると違法になるケースもあるので注意しましょう。

また、太陽光パネルの重量の約60%を占めるのがガラスです。

ガラスが処分の過程で割れてしまうと、作業を行う人がけがをする原因にもなります。

廃棄する前に蓄電池を使って非常用電源にするように新たな活用法を考えるのも大切です。

太陽光パネルを処分する方法

老朽化や故障などで太陽光パネルを処分する方法や流れを、シチュエーション別で紹介します。

住宅の建て替え・リフォームで撤去する場合

家の建て替えやリフォームに伴って太陽光発電設備を撤去する場合は、通常、解体業者が撤去作業を行います。

太陽光発電の撤去や再設置には費用がかかるため、住宅リフォームや建て替えの際には、太陽光発電に関する見積もりも忘れずに行いましょう。

寿命、不具合・故障で取り替える場合

太陽光パネルの不具合や寿命で交換する場合は、太陽光発電システムを設置した施工会社か販売会社が設備撤去を行います。

製品の不良が原因で撤去した際の排出者はメーカーです。

また、転居で太陽光パネルを撤去する場合も同様です。

事故や災害で太陽光パネルが破損した場合

太陽光パネルが破損した場合は、屋根の上についているのか地上に落下したのかで対応が変わります

屋根についている場合は、設置した会社に連絡して修繕か交換を依頼します。

落下した場合は、法律上は一般廃棄物となるため、自治体の廃棄物担当窓口に連絡して処分方法を相談しましょう。

なお、粗大ごみとしての回収はできません。

増える電子ごみ問題

電子ごみとは、バッテリーや電気・電子回路を搭載している電気製品や電子機器が廃棄物されるときの総称です。

EUのデータによると、EU市場に投入された電気・電子機器の量は、2012年の760万トンから2021年には1,350万トンに急増。また、回収された機器は2012年は300万トンで、2021年は490万トンでした。

電子ごみは適切に廃棄することで、希少な資源をしっかりとリサイクルできます。

むやみに処理せずに、電気屋や市町村の回収ボックス、回収業者などを活用して、資源を守ることが大切です。

太陽光パネルリサイクル義務化へ

日本政府は、使用済みの太陽光パネルのリサイクル義務化について検討しています。現状ではリサイクルの義務はありません

太陽光パネルのリサイクルは、素材の再利用や廃棄コストの軽減の観点から重要な課題です。特に、有害物質の適切な処理とリサイクルや再利用の促進に向けた意識づけが求められています。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告では、寿命を終えた太陽光パネルをリサイクルすれば、2050年までに世界で約7800万トンの原材料や、その他の貴重な部品を利用可能にできると予測しています。

社会全体で太陽光パネルの廃棄問題に取り組み、持続可能なエネルギー社会の実現への新たな方法を探し続ける必要があるのではないでしょうか。

まとめ

本記事では、太陽光パネルの2030年問題や廃棄費用の目安、処分方法について解説しました。

2000年代に設置した太陽光パネルは、2030年代には寿命を迎えます。

希少な資源を有効活用し、自然を守るためにも、エコについてしっかりと考えてみましょう。