投稿日:2025年06月30日/更新日:2025年06月30日
コーヒーが飲めなくなる?!【コーヒー2050年問題】原因や影響、消費者ができる取り組みを解説!
「コーヒーが将来飲めなくなるかもしれない」
そのような衝撃的な未来予想が世界中で話題になっています。
普段からコーヒーを日常的に楽しんでいる方も多いため、困惑する方が多いのではないでしょうか?
本記事では「コーヒー2050年問題」の原因や背景についてと、わたしたちができる対策法までまとめてわかりやすく解説します。
将来も美味しいコーヒーを楽しむために、ぜひ参考にしてください。

コーヒー2050年問題とは?
「コーヒー2050年問題」とは、2050年までに現在のコーヒー栽培地の最大50%が栽培困難になる可能性があると懸念されていることです。
さまざまな研究や論文で最新データを用いて検証していますが、残念ながら結果は変わらず早急な意識改革が求められます。
コーヒー2050年問題の原因は?
コーヒー2050年問題の原因は主に「地球温暖化」です。
- 気温上昇
- 降雨パターンの乱れ
- 干ばつや洪水の増加
- 病害虫(さび病など)の拡大
そのため、コーヒー豆のなかでもとくに高品質でデリケートな品種「アラビカ種」の栽培が大きな課題に直面すると危惧されています。
近年では気候変動が大きく、栽培地として適していた標高の地域が徐々に不適応地域へと変化しており、コーヒー2050年問題もさらに深刻化しています。

コーヒー2050年問題で受ける影響は?
コーヒー2050年問題によって想定される影響は以下のとおりです。
- 生産農家の減少や貧困化
- 生産量の減少や品質低下の可能性
- 価格の高騰
それぞれ詳しく解説します。
生産農家の減少や貧困化
地球温暖化で栽培適地が減少すると、それに伴い全体的なコーヒーの収穫量も低下し、収穫量の低下はコーヒー農家の収入に直結します。
コーヒーの主な産地は中南米やアフリカなど貧困問題を抱える発展途上国です。
そのため、農家の貧困化が加速され、生計を立てることが難しくなるケースも想定されます。
栽培そのものの難易度が上がると、コーヒー栽培自体を辞めてしまう農家も出てくるでしょう。
また、小規模な農園を経営する農家ほど、少しの自然災害でも大きなダメージを受けます。
高騰する農薬などの費用も、経営を維持していく不安の要因です。
生産量の減少や品質低下の可能性
良質なコーヒーの栽培条件には、昼夜の寒暖差や適度な降雨量・標高が必須です。
現在のような温暖化と気候変動が続けば、コーヒーの栽培に適した土地が減り、生産量は減少するうえに品質も当然低下すると予想されます。
コーヒーは寒さに弱く日光を好むものの、強すぎるとダメージを受けます。
乾燥には弱く、水はけのいい肥えた土壌を好み、その条件が揃っているのが「コーヒーベルト」という、赤道をはさんで北緯25度から南緯25度の間です。
参照:そのコーヒーいつまで飲める 豆高騰、世界の栽培適地半減の危機|毎日新聞
世界のコーヒー主要な生産地が集中している、このコーヒーベルトの気候が変動することで、多くの地域でコーヒーの栽培が困難になると予想されています。
価格の高騰
コーヒーの生産量減少が懸念される一方で、コーヒーの消費量や需要は増加しているため消費量に対して生産量が追いつかず、いずれはコーヒーの大幅な価格上昇の可能性が懸念されています。
世界全体のコーヒーの消費量は年々増加しており、日本でも傾向は同様です。
参照:コーヒー需要動向調査 (概要)|全日本コーヒー協会
全日本コーヒー協会の各種飲料の飲用率を調査したアンケートによると、コーヒーの需要はお茶の次に高い結果でした。
コーヒーは自宅やカフェなど、さまざまなシーンで楽しめるため、今や日常に欠かせない飲み物となっています。
今後もさらに需要が拡大すると予想されます。
コーヒー2050年問題が現実となることで、コーヒー豆そのものが「希少なもの=高級品」になる可能性があります。
大幅な値上げが実施されると、今のように気軽にコーヒーを楽しめなくなってしまうかもしれません。
コーヒー生産者へ行われている支援と対策
コーヒー2050年問題に向けて、生産者への支援や対策に力を入れている最中です。
現在、行われている支援や対策は以下のとおり。
- 気候変動に強い新品種の開発
- アグロフォレストリー(森林農法)の推進
- 農家への技術支援と教育
- サステナブル認証制度による収入支援
それぞれ詳しく解説します。
気候変動に強い新品種の開発
コーヒー生産地では、高温や干ばつ・病害虫に耐性を持つ新品種の研究と導入が進められています。
特にアラビカ種は気候変動に弱いため、より強靭で品質の高い品種への切り替えが重要な課題です。
各国の農業研究機関や大学、大手コーヒー企業が連携し、農家に安定的な収量と収入を確保できるよう品種改良をサポート・応援する取り組みを行っています。
将来のコーヒー供給を守るためにも、早急に開発が進むことを期待したいですね。
アグロフォレストリー(森林農法)の推進
気候変動と経済問題の両方に対処できる有効的なアプローチ法として「アグロフォレストリー」が注目を集めています。
アグロフォレストリーは日差しや気温の上昇からコーヒーの木を守るため、他の木と共に植えます。
木陰を作るだけでなく、土壌の保水性を高め、生態系の多様性も維持できる持続可能な農法です。
カカオや果樹などと共に育てることで収入源も分散でき、農家の経済的リスクの軽減が期待できます。
農家への技術支援と教育
持続可能な農業を広めるには、農家が気候変動への知識と技術を身につけることが重要です。
NGOやコーヒー企業、国際機関などが協力し、土壌管理や水資源の使い方、病害虫対策、剪定方法などを学ぶワークショップや研修を現地で実施しています。
知識の共有により、生産性を落とさず環境への負担を減らす技術が広がることが期待されています。
農家の自立と持続可能性を支えることにつながってくるでしょう。
サステナブル認証制度による収入支援
レインフォレスト・アライアンスやフェアトレード認証など、サステナブル認証を取得した農園では、環境や労働条件に配慮した栽培が評価されています。
そのため、より高値での取引が可能です。
参照:A Blizzard of “Sustainability” Labels|認証マークの一例
サステナブル認証は、生産者の生活向上とともに、環境保全にもつながる仕組みです。
企業側も認証コーヒーを積極的に購入することで、農家への支援と気候変動への対応を両立しようとする意識が高まります。

消費者ができるコーヒーへの役割とSDGs
私たち消費者が、コーヒー2050年問題に向けてできることの一例を紹介します。
- フェアトレードや認証コーヒーの選択
- 飲み方・買い方の工夫
- 情報発信と教育への参加
- 地域・店舗との連携と応援
すぐに結果として反映されるわけではありませんが、コーヒーを将来も楽しむために、できることは取り組みたいですよね。
ぜひ、参考にしてください。
フェアトレードや認証コーヒーの選択
私たちが日常的に認証が付いたコーヒーを選択することが、生産者の生活を守ることにつながり、SDGs目標8の「働きがいも経済成長も」の実現を後押しします。
フェアトレードやレインフォレスト・アライアンスなどの認証コーヒーは、環境と人権に配慮した栽培を行っています。
コーヒー農家が公正な価格で取引され、安定した生活と仕事のやりがいを得ることへの一歩になるでしょう。
そして貧困削減と地域経済の活性化につながり、生産地の未来を左右するといっても過言ではありません。
価格はやや高くなる場合もありますが、持続可能な仕組みを応援する意思の選択となるでしょう。
飲み方・買い方の工夫
コーヒーを楽しむ際にも、無駄を減らす工夫が可能です。
- マイボトルを持参する
- 飲み残しを減らす
- 必要な量だけ豆を購入する など
小さな行動が資源の節約となり、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」につながるでしょう。
さらに、インスタントではなく豆から淹れることで、ゴミや加工工程のエネルギーを抑える効果もあります。
ささいな行動が、間接的に生産地の負担を減らします。
小さな工夫も持続可能な生産と消費のサイクルにつながるため、ぜひ意識して取り組みたいものです。
情報発信と教育への参加
消費者が「知り、伝える」ことも、非常に大切です。
SNSやブログで認証コーヒーについてや気候変動による課題などが紹介され、少しずつ周囲の意識も変化していますが、まだまだです。
子どもたちへの食育や学校でのSDGs教育でも取り組みが開始されています。
日常の選択が社会課題とつながっていると認識する1歩になれば、より身近に感じやすい内容になるでしょう。
地域・店舗との連携と応援
地元のカフェやコーヒーショップが持続可能なコーヒーを扱っている場合、その店舗を応援することも貢献につながります。
サステナブルな取り組みをしている店を選び、消費行動で支持することは非常に大きな力になります。
店側と会話しながら取り組みを知ることで、理解も深まるでしょう。
まとめ
多くの人が普段から何気なく愛用しているコーヒー。
そんなコーヒーを「近い将来、飲めなくなるかも」と意識している人は、そう多くないかもしれません。
本記事を読んで、私たちができる対策や知っておくべきことを理解し、実行してみましょう。
将来も美味しいコーヒーを楽しめるよう、小さな一歩を踏み出し地球にも環境にも優しい行動を心がけたいものです。
ぜひ参考にしてください。
