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投稿日:2025年04月03日/更新日:2025年04月03日

北海道の伝統工芸品を紹介!それぞれの魅力や注目の若手職人まで解説

日本各地にはさまざまな伝統工芸品があります。

どれも古くから受け継がれてきた、歴史と技術が詰まった魅力ある工芸品ばかりです。

伝統工芸品は「高級品」というイメージを持つ方も多いですが、手軽に便利な類似物が手に入りやすい時代だからこそ「本物で上質なものを長く使う」丁寧な暮らしがSNSを筆頭に注目されています。

そこで今回は、旅先としても人気の高い北海道の伝統工芸品について解説します。

それぞれの魅力やおすすめの職人さんも紹介しているため、ぜひ最後までチェックしてください。

伝統工芸品とは?

伝統的な素材や技術・技法で作られた工芸品は「伝統工芸品」と呼びます

工芸品は主に手作業で制作されたものを指し、職人の高い技術が必要です。

そのため、価値が高く評価されており、有名な作り手のものは美術品として扱われます。

各地域の文化や風習を表現したものが多く、近年では時代のニーズに合わせ、伝統技術を用いた工芸品として大量生産を取り入れているケースもあります。

伝統的工芸品との違い

工芸品のなかでも、経済産業省が指定する厳しい要件をクリアしたものを「伝統的工芸品」と呼びます

伝統的工芸品の指定要件

  • 地域の文化や歴史との関連性
  • 職人の高度な技術や手間の反映
  • 伝統的な技術や制作方法
  • 保護・伝承の必要性

生活や地域経済の発展を目的とした要件が定められている伝統工芸品は、地域の文化遺産として価値があります。

後世への継承・保存が重要課題です

北海道の代表的な伝統工芸品は?

北海道には数多くの伝統工芸品が残っており、今回は以下の4つを紹介します。

【伝統的工芸品】

  • 二風谷アットゥシ
  • 二風谷イタ

【伝統工芸品】

  • 木彫りの熊
  • ポンニカプンペ

他にも、北海道にはオルゴールやガラスなどの工芸品も多い特徴があります。

どれも全て手作業で、製作に高い難易度を要する工芸品です。

二風谷アットゥシ

参照:二風谷アイヌクラフト

アッニ(オヒョウ)と呼ばれる樹皮の繊維で糸を作り、アットゥシカラペ(機織り機)を使って織られた反物を二風谷アットゥシと呼びます。

水に強く、通気性に優れている特徴があり、着物や半纏、前掛け、帯や小物類等に使用されます

100年以上前から受け継がれてきた二風谷アットゥシは、現在も当時使用されていた道具とほぼ同様の道具を使用して作られているのが特徴です。

二風谷イタ

参照:二風谷アイヌクラフト

二風谷イタは沙流川流域に古くから伝わる、木製の平たい形状のお盆です。

地域の特徴であるモレウノカ・アイウシノカ・シクノカなど、アイヌの模様が木彫りで施されています

なかでも木を縦方向に彫った「ウロコ彫り」は二風谷イタの特徴で、高い技術が必要です。

木彫りの熊

北海道の民芸品・工芸品として代表的なものに「木彫りの熊」があげられます。

昭和初期に最も流行し、北海道土産として「鮭をくわえた木彫りの熊」が思い浮かぶ方も多いでしょう。

すべて手彫りのため細かな表情が異なるのもポイントで、有名な工芸品の1つです

ポンニカプンペ

参照:公益財団法人アイヌ民族文化財団

ポンニカプンペはアイヌ語で「模様入りの小さなゴザ」を意味し、かつて儀式で使用された神聖な物です

良質なガマの葉やオヒョウの皮を採集し木の実で染め、中央から広がった大小のひし型もようを編み上げています。

北海道の伝統工芸品が抱える問題とは?

北海道の伝統的工芸品の生産額は平成28年度に1,000億円を下回って以降、年々規模は縮小中です

その主な原因は以下の2点があげられます。

  • 後継者不足
  • 需要の減少

今でも職人になりたいという若者は一定数いますが、仕事量の少なさも要因の1つです。

参照:経済産業省説明資料|経済産業省

北海道では、昭和50年代後半以降景気が悪くなり職人が辞め、現在では専業の職人が数えるほどしかいません。

全て手作業で、難易度が高い作業が必要なのが現状です。

後継者問題が重要課題

現在日本各地で伝統的技術・技法の継承が危機的状況に直面していますが、他の伝統工芸同様、後継者不足は深刻な問題となっています。

北海道の伝統的工芸士の人数は2017年は0人でした

その後、5年間で二風谷アットゥシの工芸士が2人、二風谷イタは2022年時点で3人の工芸士がいます。

二風谷民芸組合の組合員は23人ですが、そのうち木彫りの職人は6人で全盛期に比べるとずいぶん少なくなっています。

職人の高齢化による引退、金銭面の理由や仕事量の減少から、技術や技法を取得する前に途中離脱してしまうのも大きな課題です。

北海道の伝統工芸品の現状

現在、全国でアイヌ文化への関心が高まっています。

アイヌ民族の少女らが金塊を探す漫画「ゴールデンカムイ」や、国立施設「民族共生象徴空間」(ウポポイ、北海道白老町)開業の効果が大きいと言われています。

海外からの需要拡大傾向

近年、海外からの伝統工芸品の需要が高まっている傾向です

実際に日本を訪れる外国人観光客の中には伝統工芸品を探し求める方も多いため、海外に向けた販路に向けた活動を行っています。

地域おこし協力隊制度を活用

地域おこし協力隊を募集し、域外からの移住・定住の促進や任期終了後の地域への定着に向けた取組に力を入れています。

主に共同作業場・体験施設などの施設の整備を行い、伝統工芸品産業への従事希望者を地域外から呼び込むことを実施中です。

結果、令和3年度に任期が終了した4人の隊員全員が町に定着し、うち3人が伝統工芸品の製造を継続しています

若手職人が奮闘中!北海道の伝統工芸士

北海道では伝統工芸士への支援にも力を入れています。

かつての盛り上がりに近づけるべく、現在若手職人が奮闘中です。

以下では、3人の若手職人とブランド会社を紹介します。

木彫りの熊|川口直人さん

若くて70代だという木彫り熊職人業界の中で、異例の30代の職人です

リアルで高級なイメージのある木彫りの熊だけでなく、ワンコイン台でかわいらしいデザインの木彫りの熊も販売しています。

精巧な技術はそのままで、女性や若い世代でも気軽に手に取りやすいのが川口さんのつくりあげる木彫りの熊の特徴です。

作家・商品紹介:おなかをべったり、「ダレ熊」。かわいすぎる木彫り熊たちを生み出す、異例の若手職人

二風谷イタ|岡本朋也さん

地域おこし協力隊員の岡本朋也さんは、現在も職人を目指して活動中です。

アイヌ文化の伝統的な技法を取り入れつつも、現代のライフスタイルに合う形で提供しています。

エキゾチックからシンプルなものまで、飾りすぎない自然をテーマとしたデザインが特徴的です

アットゥシ|柴田幸宏さん

二風谷アットゥシ織物職人である柴田 幸宏さんも、地域おこし協力隊から伝統工芸の魅力に取り込まれた1人です。

「木の皮を細く裂いて糸にし織る」地味で細かい作業の繰り返しですが、自然の物を扱うため1つ1つの素材の状態が異なります。

手間と時間がかかる織物ですが、どの工程にも意味があり、手を抜かずにやることが大事だと実感しているそうです。

柴田さんの作品はアットゥシの素朴な雰囲気を残しつつ、日常的に使いやすい商品が多く販売されています

作家紹介:二風谷アットゥシ織物職人 柴田 幸宏 | 明日への扉 by アットホーム

アイヌ工芸の生活道具ブランド|ramgu(ラムグ)

平取町二風谷の若手職人とつくるアイヌ工芸の生活道具ブランド「ramgu(ラムグ)」にも注目です

アイヌ文様が施された、カッティングボードや鍋敷きなどの木彫り商品、今治タオル、そして現代風にアレンジしたデザインTシャツなどを販売しています。

なかなか工芸品と触れる機会のない若い世代にも馴染みがやすい製品を取り扱っており、誰でも手に取りやすい商品が多いのが分かります。ぜひチェックしてみてください。

まとめ

日本各地にはさまざまな伝統工芸品があり、古くから受け継がれた歴史と精巧な技術が魅力です。

「工芸品=高級品」といった印象を持つ方も多くいますが、上質な本物に触れる日常は、生活を豊かにしてくれるほか「丁寧な暮らし」を実現できます。

現代のニーズや生活に合うようスタイルもアップグレードされているため、ぜひチェックしてみてください。